第8話 A{5,156} そんな保証どこにも無かったね

――TIMES_A{5,156}――

 2024年9月23日(月)15:44


 目の前の景色が変わった。

 痛みがなくなり、そこは自分の部屋だった。


 制服を着ている。

 なんか、暑いな突然夏に戻った??


 時間を確認する。


 9月の23日月曜日、15:44


 学校から帰った後のようだった。

 そして、今週の月曜日が暑かったのを思い出した。


 それにしても、死ぬと、同じ日ではなく、さらに戻る日が1日前に戻る……。


 この現象もなんなのか……。


 どんどん前に戻っていくのか?


 そもそも、どういったスキルなのかアビリティなのか分からない。

 分かっていることは死ぬと日にちが戻り、蘇るってこと。


 そして、その日が一日ずつずれていく。


 安易には試せないスキル……現象なので予想でしかない。


 試す……。

 自ら死ぬ??


 とてもじゃないけど、怖くて出来ない。

 想像するだけでも恐ろしい……。

 そっ、それでも……、試したほうがいいのかね…………。



 あれ、SNSチャットに、知らない人から友だち追加が来た。


 お母さんから連絡かと思ったけど、新しい『友だち追加』だった。


 こんな時に誰だろう……。

 というか、おかしい。


 今週の月曜日というか、ここずっとSNSチャットに相手からの『友だち追加』が来るなんて無かった。


 どういうこと?

 同じ事が繰り返すのじゃいのね??


 誰なんだろう……。


 あれ、異相イソウさんだ。


 なんでワタシのIDを知ってるんだろう。

 元々知ってたのかな……。


 色々疑問が尽きないが、『友だち追加』してみる。


 こちらからメッセージを送ろうかどうか迷っていたら、異相イソウさんからメッセージが来た。


『ん。いきなり連絡してごめんなさい。困っていましたかと思いまして。

 そんな夢を見たもんで。

 伝えておきたいのですけど。

 貴方の死に戻りの能力は、ずっとは使えない。

 回数制限がある』


異相イソウさん、どういうこと?

 なんで知ってるの?

 ワタシの能力と、あと連絡先と、それにそれに、回数制限ってってどういうこと?』


 ワタシは慌ててる為か、急いで聞き返す。

 少し時間を置いてから返信が来る。


 返事が来るまで気が気では無かった。


『うん。なんで知ってるのかは夢で見たとしか。

 回数制限は調べられる。

 ステータス欄を開いて、龍玉の数を見てみて。

 1日戻るのに対し、龍玉が1個ずつ減っていく。

 2日で2個、3日で3個。

 今回は、5個減ったはず。

 今回はたまたま、刻まれてない記録から呼び出せた夢。

 刻まれてないから、ツタエちゃんがいても呼び出せない情報。

 今、私が言ってることも多分、私は後で思い出せなくなる。

 たぶんもうすぐ、分けが分からなくなって、答えられなくなる。

 聞きたいことは今のうちに具体的に聞いて』


 返信が来た。


 死に戻りの日数が増えていくことすら、知ってるのか…………。 


 あんまり開かないようにドンちゃんから言われているステータス欄。

 むら側が開発したシステムだから、それを使うことがあまり好かれてないだとか。

 うちらのむらでそれを作るまで待てと言われてたけど、それどころじゃないし。

 死に戻りに係わる情報が、なんとステータス欄に、載っていると。


 龍玉って、なんだろう。

 そんなのあったかな……。


 私はAR表示されるステータス欄を開く。

 これは、これで、不思議なシステムだね。


 ステータス欄を見ても龍玉が、何か分からない。


『龍玉ってステータス欄のどこにあるの??」


 ワタシは慌ててた為、異相イソウさんに聞いてしまった。

 ワタシのステータス欄なんか見たことないだろうし、そもそも他人には見えないらしいし。


 が、すぐに回答が来た。


『画面の周りに画像っぽいアイコンで周りを囲むように描かれてるのが龍玉。

 今7個、描かれているはず』


 なんで知ってるんだろう。

 いや、それよりも、他の重要なこと聞かなきゃ。


『どうすれば龍玉は増やせるの?』


『エグゼキューショナーを倒せば、強さに応じた分の数が増える』


 回答がすぐに来た。

 具体的な質問の方が良いのか。


 エグゼキューショナーっていっても、そうは都合よく遭遇しないよね。


 うーん。


『エグゼキューショナーはどこにいるの?』


 こんな、質問に答えられるのか分からないけど、すがる思いで質問をしてしまった。


 予想に反してすぐに回答が来た。

『明後日の水曜日に波常見区の〇〇町の2ー18ー7の住所に16:03に沸く。

 次が、金曜日の、宮城県の〇〇市〇〇区〇〇丁の〇ー〇ー〇に13:15に沸く。

 すぐに倒さないとならない。

 他にも狩に来る者がいる』


 答えがすぐに来た。

 異相イソウさん、文字を打つの早すぎじゃないの??


 というか、こちらが質問する前から文字を打ってたんじゃないの??


 読んでたら次のメッセージも来た。


『ごめんなさい。

 もう答えられない。

 夢とのバイパスが閉じる。

 意識も記憶もなくなねやらはわ』


 途中で文章がおかしくなっているメッセージが来た。


 異変でもあったのか、大丈夫なのかしら。


『あのぅ、異相イソウさん大丈夫??』


 返事がない……。


 しょうがないので先ほどのメッセージを見てると、返事が来た。


『えっと、東野先輩ですか?

 SNSチャット繋げてくれたんですか。

 あれ、もしかして私の方から?

 もしかして私、またやっちゃった?

 たまにあるんですけど、無意識に行動をしちゃって。

 ご迷惑かけてたらごめんなさい。

 偉そうなこと言っちゃてたらごめんなさい。

 会話は成り立ってたみたいですけど、今の私にはよく分からないから、説明を求めても、ほとんど答えられないです』


『いえ、ありがとう。とても助かったのね。

 異相イソウさんには、たまにこういうことが発生してしまうのね。

 大変でしょうけど、頑張ってね』


 なんとなく状況が分かったのね。

 無難なメッセージを送っておく。


 とても助かるメッセージだった。


 彼女の能力……。

 スキルなのかアビリティなのか分からないけど、何故か異相イソウさんはワタシを助けてくれた。

 けっして、嘘とか騙すとかじゃないと思う。


 そもそも、ワタシに知らせなかったら、私は気付かないで、永遠の死を迎えていたし……。

 というか、ワタシも知らない情報の龍玉の情報を知らせるって、彼女に何の特があるのかって話になってくるわけだね。


 とっても、勘ぐれば、ワタシを騙す何かがあるのかもしれないけど、単なる善意な気がするね。


 にしても、そもそも、死に戻りって、ずっと続く能力だと思っていた。

 けど、そうじゃないね。

 そんな保証どこにも無かったね。


 異相イソウさんが教えてくれなければ、知ることも出来ず、次回の死に戻りした後、その次で、本当に死んでしまっていた。


 これらの情報を知ったことにより、することは決まった。

 やるべきことの、道しるべだね。

 少しでも修行をしながら、エグゼキューショナーを倒すしか無いのか。


 また、疑ってる訳ではないけど、言われたところに行ってちゃんとエグゼキューショナーが沸けば、真実だと分かるね。


 エグゼキューショナーを倒して龍玉を稼ぐ。

 ワタシはSNSチャットのログを穴が開くほど見つめて、読み込んだ。


 水曜日までは修行をして過ごそう……。

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