第6話 A{3,156}~A{4,156} どこへ行っても……

――TIMES_A{3,156}――

 2024年9月28日(土)12:00

 現地時間9月28日(土)3:00



 

 ワタシはポルトガルに来ていた。

 とても遠かった。

 キャンセルチケットが連続で取れて良かったんだけど、良かったんだろうか……。

 なんとか、魔法少女のスキル、変化の術も込みで化粧して年もごまかして、パスポートもスキルでごにょごにょして……。 ホテルに泊まれたけど……。


 ずっと、乗り継ぎ、乗り継ぎで、移動していた気分だ。

 でもここなら安全だと思う。

 逃げるのに必死だったけど、こんな遠くまで来てしまって良かったのだろうか。


 どうやって帰ろう……。

 帰ることだけじゃない。問題はまだある。

 遠ければ、宇佐美の索敵を撒くことができるという保証が無いこと。


 いつか、あのモンスターがやってきてしまう。


 それまでになんとか帮助お助(たす)けキャラのどんちゃんと合わなければ。

 それまで逃げ切るしか……。


「どういうこと、なんでこんなところに来てるの?」


 目の前に突然現れた宇佐美が、独り言を言った。

 部屋にどうやって……。


 いや、そんなことよりも……。


 さらに続けてこう言う。

「やはり操られてるのね」


 なんの話??


「待って……」


 ワタシは宇佐美に呼びかけたが、次の瞬間には木の剣ではたかれかれ死んでいた……。




――TIMES_A{4,156}――

 2024年9月24日(火)15:11


 目の前の景色が変わった。

 痛みが完全に無くなり、そこは学校から帰る途中とちゅうの道だと気づいた。


 スマホを見て時間確認。

 

 9月の24日の火曜日、15:11


 生きてる。

 4日前に戻った。

 生きてることが嬉しい……。


 生きて戻ったけど、逃げられない。

 戦っても勝てない。


 どうすれば。

 どうすれば。


 とにかくまずは落ち着こう。

 また頭が回らなくなってしまう。


 というか、頭がさらにスッキリしてる気がする。

 あのなんとも何も考えられない気だるさが無くなってる気がする。


 死に戻り自体に何かデメリットがあって、それが緩和されてるね?


 それとも死に戻りに慣れてきたのかね?


 さて、まずは情報ね。

 状況を整理して、情報を集めよう。


 後輩の4人は接触しても問題なさそうではあるし。


 気まずいから、つっちゃんには会いたく無いけど、状況が状況だ。

 背に腹は変えられないね。


 というか、相談には一番乗ってくれそうなんだけど、間違いなく情報が漏れるね。


 彼女の魔法少女スキルか異能かで。


 ただ、彼女らのむらの人たちは、今回の件知らないというか、中立であろうから漏れたとしても……。


 とにかく情報だね。

 情報を集めよう。


 まだ、学校にあの子達いるかな。


 高等部の方が授業の時間が長いから、彼女らはもう帰ってるかもしれないね。


 学校へ行こう。

 放課後の学校へ。




――TIMES_A{4,156}――

 2024年9月24日(火)15:30


 放課後の学校に着いた後、風の噂で聞いていたあの4人が入っているという動画を撮る部活動の活動場所を探した。

 彼女らのを探って来たわけであるがね。


-----

 程なく見つかったが、ドアの前に撮影中の札が掛かっていた。


 少し入るのが躊躇とまどわれるね。

 ノックをしたら撮影に音が入っちゃうよね。


 少し逡巡してたら、逆に中からドアが開く。



「あれ、先輩どうしたのですか? 何かうちの部に用事でもあるんですか?」


 中から出てきたのは由解ユゲさんだった。

 そうか、前回の教室で会ったことは、無かったことになってるんだ……。


「ちょっと相談があるんだけどね」


「そうなんですか。とりあえず入りましょうか」



 部室に入った。

 つっちゃんはおらず、やはりで探ったとおり、3人しかいなかった。

 まぁ、だから気軽に来れたってのもあるね……。


「あ、東野先輩、ボクねあの本「あっ、あの本面白かった? 進めてよかった。2冊とも呼んだのね。今は忙しいから、今度感想を聞かせてね」


「あ、はい。うん。」


 似吹イブキさんを謎の迫力で黙らせる。


 そんなこんなで、結局、動画撮影部では情報を得られられなかった。


 しかし、明渡あけどさんこと、つっちゃんとは、異相イソウさん経由でSNSチャットで繋がれたのでチャットをする。


 グループチャットを作ってもらい、その後1対1の状況にしてチャットで投げかける。


 チャットなら彼女に私の記憶が伝わることも無いだろう。


 ワタシの存在自体がワタシのむらからすると、軍事機密みたいなもんだとのことだから、テレパスの強力なスキルを持っている、つっちゃんは、ワタシたちに対し、完全にスパイみたいなものになってしまう。


 同じ学園の敷地内にいながら、今まで影響が無かったのだから、彼女の持つスキル有効射程距離は長くなく、もしかしたらゼロ距離かもしれない。


 恐る恐るつっちゃんにチャットを送ると、数分もしないで返事が来た。

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