第3話 A{1,156}~A{2,156} 走馬灯

 エグゼキューショナーを探すというより、宇佐美さんからの襲撃を警戒して、周り全体の気を感じるように意識を張り巡らしていたね。


 もちろん、もうすでに変身している。


 そして、人に見つからないようにしている。

 宮廷正装の長袍を可愛らしくした、服装だ。

 それにおおきな紺色の帽子も被っている。

 真ん中についているお札が邪魔だったけど、今は気にならなくなった。

 あまり、いないタイプの魔法少女の恰好らしい。


 ワタシは懐の暗器をいつでも取り出せるようにして、周りに意識を戻した。

 こんなに集中して周りを警戒したのは生まれて初めてね。


 エグゼキューショナーとの戦いの時でさえ、こんなに集中したことないね。


 それはやはり、突然のできごとだった。

 攻撃が来た。

 大きな激痛が走る。

 とても大きなの存在をかたわらに感じた。


 これだけ警戒してて全く気がつけなかった……。

 隠密行動のプロフェッショナルなのか。


 そんなことを気にしてる場合じゃない、生き残るために逃げなきゃ。


 ワタシを襲撃したのはやはり宇佐美さんであり、

 トドメの一撃に、たいワタシようといえる木の剣での一撃。


「これで……」

 宇佐美さんが何かをつぶやいた。


 予知夢と同じように「何故、こんなことを」と聞こうとしたが、もう声も出ないのね。

 痛みも一瞬あったが、もう体が麻痺してるのか、何も感じない……。


 けっきょく死ぬのね……。

 すごく悲しかった。

 痛くて辛くて……。




——TIMES_A{2,156}——

 2024年9月NN日


 気がついたら、学校の教室にいた。


 授業中だった。


 幻術?

 予知夢??


 予知夢を見た予知夢?

 というか、夢と思えないリアリテイ……。


 時間は……。

 教室の時計を見る。13:45


 今は5時間目のようだ。

 授業の終了まで、ぼーっとしてしまった。

 考えが回らない。

 5時間目が終わった後、スマホを取り出して再び時間を確認すると……。


 9月の26日木曜日、14:11


 5時間目の授業も違和感があって、日付を調べたら案の定、今日は木曜日だ。


 どういうことなのね…………


 よく分からないけど、これが走馬灯というやつなのね??


 ワタシ今、死につつあって、2日前を思い出してるのね???


 意味が分からない。

 死んだことなんてないから人の死ぬ瞬間の意識なんて知らないけど、こういうふうになるのかね……。


 それともワタシの死への恐怖が作り出してる幻想、やはり走馬灯のようなもの??


 とにかく、これがなんであれ、宇佐美さんからは逃げなきゃならない。


 じゃないと、土曜日のお昼に襲われる。


 どうしよう。

 どっかに逃げるか?


 でもどこに??

 このまま、リアリティの異様にある予知夢と同じ行動をとったら殺されるね……。


 そうだ、指导ガイドマスコットであるどんちゃんに連絡を……。

 いや、取れない……。


 ものらは叙勲の時にしか姿を表さない。


 どうすればいい……。


 何故、宇佐美さんはワタシを殺しに来るの……。


 彼女の気は学校の中には無い。

 休んでいるようだ。


 木曜日も休み、予知夢を信じるなら金曜日、明日も休みのはず。

 学校に来ないで何をしてるんだろう。


 ワタシを殺す準備か……。


 ああ、魔法少女になんかなるんじゃなかった。

 怖い。

 死ぬのが怖い……。

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