第31話『懐かしの我が家と出会い』
ピクシーたちに誘われて行った先に、懐かしの光景が広がっていた。
「森に入り込んできた女の子なら、確かにここにいたよ」
「ああ、ここで結構じゃ。どうもありがとう」
案内してくれたピクシーに、メル⁼ファブリは重たい頭を下げ、お礼をした。ピクシーたちは、「じゃあ、ボクたちはこれで! 」と言い残して、去って行った。
「まだあったのか」
ロバ頭の妖精は、ひとり、つぶやいた。
そこには、かつて、ジブンの家だった穴があった。枯れ葉に埋もれ、一見、見逃してしまいそうな巣穴。主に捨てられた、妖精の家となってしまった、巣穴だ。
「──おや」
よく近付いて見ないと、暗くて見えなかった。穴の横、枯れ葉の上に、ちいさなパンが置かれていた。
「ああ──」
メル⁼ファブリは、パンを拾う。
「まだ、来てくれておったのか……」
パンを拾い、枯れ葉を払い、穴に身を落とした。
狭い巣穴に詰み上げた布切れも、押し込まれた針山も、カビたり ボロボロ になっていたりはしたが、メル⁼ファブリが出て行った時のままになっていた。メル⁼ファブリはパンを胃の中に押し込むと、眠りについた。
翌朝、天井の上を歩く足音で、メル⁼ファブリは目覚めた。
メル⁼ファブリは穴を這いあがった。
木漏れ日に目を細めたメル⁼ファブリは──……
「あ」
「え? 」
栗色の髪の少女と、目が合った。
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