第十六話 顛末

 ジェイ君、実は行方不明だったらしい。

 修理に出した筈のジェイ君が、跡形も無く消え去ってしまったというのが、事の始まりらしい。そんでもって、通信があったかと思えば、言動は支離滅裂。挙句の果てに俺を襲って来たという訳だ。

「という事で、すまないがアベル君。助手一をウチまで運んで来てはくれないだろうか」

 ウチと言われても困る訳だ。何処がウチなのやら。きっとアベル君は、ウチとやらが何処にあるのか、知っているのだろう。しかし、残念ながら俺はアベル君じゃあない。おまけにアベル君はウチとやらの場所について、何にも記していてくれていない。

 役立たずめ。

「わかった。何処に運べばいい」

「だからウチに――」

「――だから何処だ....」

 少しだけ驚いた様な声が漏れてきた。やはり、アベル君なんて舐められた名前で呼ばれている位だ。ウチとやらの場所を忘れていても、何を疑われる事も無いのだろう。

「....連邦が中枢、機械都市ガランド。ウチの景色を忘れるとは、記憶喪失にでもなったのかい?」

 御名答だ。大変残念ながらな。

「なったのかもな。まぁ場所は分かった。明日向かう」

「え何明日って――」

 プチ。

 あ。切っちまった。まぁいいか。

 絡繰と死骸と俺。御荷物一体、配送業者一名と一体。連邦まで御案内。

「所でシルヴァ」

「馴れ馴れしいな。というか貴様、何故私の名を――」

 鋼鉄ゴリラを引いてみるがビクともしない。

「此奴重すぎて動かんぞ」

「話を聞け」

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