記録2
時は経ち五時間目。僕らは同じクラス。五時間目は体育だった。三人で体育館まで行こうとすると、案の定雨音が空気を揺らしていた。
「お前終わったな」
「可哀想なたまきくーん」
とからかいながら二人で環の方を見ると環は、
「まあ、まあまあまあどうにかなる!」
と謎の自信に満ちていた。三人で爆笑しつつ、なんなんだこいつと思った。
五時間目も終わり、教室へ戻ろうとすると、体育館と校舎を繋ぐ通路が土砂降りの雨によってびちゃびちゃになっていた。飛ぶようにして通路を走ると、上靴の裏が少し濡れてしまった。
6時間目。美術。アイデアスケッチをしようという授業。席が窓側だった僕は、授業が終わりに近付くにつれ、環の傘二本差しを想像し筆が全く進まなくなったのは良い思い出。そう。次第に雨は強くなっていったのだ。
授業も終わり、僕らは別々の場所へ向かった。今からは部活。二人は運動部。バスケ部の斗真は体育館へ、野球部の環は管理棟と教室棟を結ぶ廊下へ向かう。僕は音楽室へ直行した。雨が降っている時にも変わらずに活動が出来るのが吹奏楽部の特権だと思う。……別にそんな事は無いか。
約二時間後、部活が終わった。因みに僕の折り畳み傘は教室のロッカーで眠っている。環はたった一本の折り畳み傘で帰ることになる。多少心配はしたけど、「多分この大雨じゃ大きさ関係無く皆ずぶ濡れになるから」と結論付けて僕は学校を後にした。
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