第15話 全然意味がちがいます!

「そ、そうだけど。でも、アタシはそれでもいいって覚悟してたんだもん……」

「なんであんなことしたんですか?」


 ゼルダの動機は判っています。

 私をあんなヤツと結婚させたくなかったんですよね?


 サクセン家乗っ取りのはかりごと、そう納得した上での計算尽くの婚約。

 女として愛されないのは覚悟の上、というか愛されないから婚約しました。

 白い結婚上等です。


 だけど、それでも、元婚約者は目に余るバカだし、その両親は図々しいしで、愚痴は出てしまうモノ。

 ゼルダにだけはさんざん愚痴ってましたから……この結婚を止めてくれたんですよね?


 判っています。でも、聞きたいんです。


『だって! マギーがあんなヤツと結婚するなんてイヤだもん』って。


 それを聞いただけで、天にも昇る気持ちになれるでしょうから。



「だって! だもん」




「……え」


 今、何か重要な言葉が抜けてたような気がします。

 有ると無いとでは、全然意味が違います。


「ちょっと待って! 今、貴女『私がと結婚するなんてイヤ』だって言いましたよね?」

「ちがうー! 結婚するなんてイヤって言ったの!」


 あのバカとじゃなくて、私が結婚すること自体がイヤ?


「アタシだって、マギーがいつかは結婚しちゃうって判ってたけど。

 判ってたけど、やっぱりイヤなんだもん。

 マギーが幸せになれそうなら我慢しようって思ってたけど、

 いつまで経ってもイヤそうだし。イヤなのにやめようとしないし。

 だから、アタシ、一生懸命考えて。

 でも、頭よくないから、アレくらいしか思いつかなくて……

 バカでごめんネ……」


 すっかりシュンとしてしまったゼルダ。


 くぅっ。か、かわいい! かわいすぎる!

 このばで、ぎゅうっと抱きしめてしまいたい!


 だめ、もう、だめ。この子から離れるなんて無理ムリ。

 もう絶対に離さない。

 どうにかして。いっそどこかに監――


 お、落ち着くのよマーガレット。犯罪ダメ。絶対ダメ。


 とりあえず手を考える時間を稼がなくては!


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