第7話 ざまぁみさらせ

「え、エリザベータぁぁなにぉぉぉ、うあぁあの夜はあんなに情熱的だったのにぃ。

 いたいいたいいたいぃぃぃぃ、ママンママァンたすけてぇぇっ!」


 いい平手らしく、元婚約者のほっぺは真っ赤かに腫れていきます。

 トマトみたいに膨れ上がっていきます。

 唯一ご自慢の顔が台無しです。

 でもそのほうが中身と釣り合ってますよ。


 それに、その程度じゃぬるいです。

 あの子とそんな夜を過ごしたんですから、殺されたって文句ないはずです。

 ああ、でもそうなったのはみんな私のせいなんです。


 だから私もぶって欲しいです。


「あの夜、お前が先に酔い潰れただけだい!

 ベッドまで重かったんだからな! いびきがうるさくてたまらんかった!

 起き抜けに『すばらしいよるでしたぁ』ってささやいたらコロッと信じやがって!

 ばーかばーかオタンコナス!」 


 なんと未遂!

 それどころか、なにもなかったみたいです。


 一気に気分が晴れました♪


 よかった! ほんとうによかった!


 この子が、こんなカスと寝てなくて!


「ええっっっっっ、そ、そんなぁばかなぁぁ」


 襟首をつかまれて、ジタバタするトマト顔の男。

 いいきみ。ブザマブザマ。


「お前が浮気した人数分制裁だっ! 覚悟しろ!」

「ま、待ってあ、相手からすり寄ってきた分は除いてぇぇぇぇぇぇぇひ、ぐ、あ、ママぁぁぁ!」


 バカの言い分は無視されて平手の嵐が降り注ぎます。


 バチーン! ×合計12回。


 その前のと足して17回。



「これは! マギーの分だっ! くらいやがれ!」


 バチーン! という特に強烈な平手打ちと共に、フリードリヒが床に薙ぎ倒されました。


「ぐは……」


 だらしなく大の字に伸びてます。


 もはや顔の原型がわからないですね。




 ざまあみさらせ。


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