第4話  まるで、体が目的で弟子入りするみたいじゃないか!?

 不可解な美少女と美女に出会い、弟子入りを勧められ、いわんや卒業試験で勝ったら美少女を好きにしていいなどと言われては──


 ──まるで、体が目的で弟子入りするみたいじゃないか!?


 オレはロリコンじゃないんだ!


 本当だ!!


 メイドのセルフィーを好きにしていい、という話であれば抵抗感も少ないが、でもスタイルはやっぱりクラスナのほうが好みだし……って違う!!


 つまり下心で弟子入りしたなどと思われては大変心外なのだ!


 そもそも、弟子入りしてやらされるのが人体実験などと言われては、素直に頷けるはずもないし!


 そんなわけで……


 オレは、弟子入りの話をいったん保留にするとボロアパートに帰ってきた。


「はぁ……まったく……なんだったんだ……」


 シングルベッドを置いたらテーブルも置けないような部屋ではあるが、ここ数年ほど住んでいるからか、帰宅すると落ち着きを取り戻す。


 そうしてベッドにゴロ寝すると、手渡された連絡先をポケットから取り出した。


(気が変わったら連絡して? ううん、弟子入りとかそういうことじゃなくても、何か困ったことがあったら連絡してよ? 決して、今日みたいな無茶なことはしないで)


 別れ際にそう言ってきたクラスナの表情は真剣そのもので、とても、人体実験とかするようには見えない。


 でもまぁ……人間、多少の会話なんかで本心は分からないものだ。


 オレは、それをイヤというほど思い知っている。


 魔法大学院に所属していたというだけで、当時は、ありとあらゆる連中が冒険者パーティの勧誘にきたものだ。


 みんな真剣な態度で、笑みを浮かべて、愛想よくオレを勧誘してきた。


 彼ら彼女らに、欺してやろうとか、利用してやろうなんて思惑は微塵も感じられなかった。


 しかし時代が変わり、魔法士が不要になり、極めつけにオレの冒険者ランクがどんどん落ちると、誰も彼もが見向きもしなくなった。


 今では陰口や罵倒は日常茶飯事だ。


「……まぁ……今さら後悔したって始まらないけどさ……」


 疲れていたのだろう。


 いつのまにかオレはまどろみ始めて、イヤな思い出を夢で見始めていた。

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