なんといっても物語に導く言葉が秀逸で、センスを感じます。
端的に〈ホール〉を表すその数行の文章が、あっという間にあなたを〈ホール〉へと誘ってくれるでしょう。
様々な客人が、現実そっくりの街〈ホール〉へとやって来ます。
現実世界での状況に不満を抱く少年、仕事に疲れた上司と部下、怪我によって競技から遠のいている少女――彼らを〈わたし〉が出迎え、〈ホール〉の説明をし、彼らと共に彼らの悪夢を楽しむのです。それらが、本格的に牙を剥くまで。
〈ホール〉にいる奇妙な烏賊君。
〈ホール〉に存在する厳格なルール。若しくは怪奇の群れ。
〈わたし〉と客人との間に生まれる仄かながら確かな感情の絡まり。
まだまだ〈ホール〉は謎に包まれており、次に何が見られるのかが楽しみです。
彼らは〈ホール〉で過ごすことで癒されるかもしれない。
もしくは滅ぶのかもしれない。
そんな彼らのひと時を眺め見る楽しみを、あなたも味わってみませんか?