第11話 後を追って
「お前達が新たにコルトレイクから来た冒険者たちか」
翌日、エーテルベルクのギルド長と僕たちは面会していた。
「こちらがコルトレイクのギルド長ロシュフォールさんから預かった手紙です」
エーテルベルクのギルド長は半信半疑と言いたげな目で僕たちを見ていたが、手紙を渡すと黙ってそれに目を落とした。
「……これは本当なのか?」
「これ、というのは?」
何が書かれてるかも分からない手紙に関して、これと言われても分からない。
「単独でドラゴンを討伐したことだ!!」
ウィルヘルミナというエンシェントドラゴンを知っている以上、正直言ってレッドドラゴンをドラゴンとは思えない。
「あの蜥蜴をドラゴンというのなら、確かに僕は単独で討伐しましたけど……?」
「ドラゴンを蜥蜴呼ばわりとは……あれは軍団規模で討伐する化け物だぞ?」
えっ……それはなにかの間違いなんじゃなくて……?
「エンシェントドラゴンならそうかもしれませんが……」
「エンシェントドラゴンは国難のレベルだ……」
エーテルベルクのギルド長は、頭を抱えた。
「お前が……いや、レオン君が人並み外れた実力の持ち主というのは今の会話で嫌という程分からされたよ……」
両隣に座る二人はケラケラと笑っている。
「何が可笑しいんだ?」
「私たちと同じような反応だなぁって」
「今度は見る番」
なるほど、僕の常識がズレてると言いたいのかな。
「兎にも角にも今日の調査部隊はさっき出発しちまった。君たちには追いかけていってもらいたい」
同じように
「そんなに危険なのですか?」
そもそも
「場合によっては国が滅ぶ」
ギルド長は端的に答えた。
さっきエンシェントドラゴンを国が滅ぶレベルと言っていたから、それと同等の脅威度!?
「急ごう」
力は弱きを守るために使うのだとウィルヘルミナは言っていた。
まさにこういう事態のことを言っているいるのだろう。
そうであるならば、急ぐべきだ。
「『
「師匠の魔法をこの目に焼き付けるチャンス到来!!」
シアは腕を突き上げぴょんと跳ね、ヴァイオレットは鼻息を荒くして言った。
「地図を持ってけ。冒険者は街道沿いだ」
「ありがとうございます」
地図を受け取ると、すぐさまギルドを出た。
「飛ぶよ」
そう二人に伝えると二人はそれぞれ僕の手をとった。
「おい、飛んだぞ!?」
「なんだ彼奴ら!?」
そんな声を置き去りにして地面を蹴った。
「みんな見上げてるわね、人の注目を集めるのも悪くないわ」
シアは目を輝かせていた。
「悪いことすれば一発ですよ?」
「そんなことしないわよ」
「師匠は魔法が得意だから完全犯罪も可能?」
痕跡を残さない犯罪か……。
隠蔽魔法も時間魔法も使えるから出来ないことはないと思う。
悪いことをするつもりは無いから考えたこともなかったけど。
「多分できると思うけど?」
素直に答えると、ヴァイオレットは蠱惑的な笑みを浮かべた。
「なら、私を盗んでよ」
「あんた昨日、恋愛的な目でレオンのこと見てないって言ったよね!?」
ヴァイオレットの言葉に目くじら立てるシア。
どんな事情があってヴァイオレットがそんなことを言っているのかに気付くことが出来たのはだいぶ後になってからだった。
最強種の弟子は自重を知らないようです。 ふぃるめる @aterie3
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