第14話・金属の正体と魔法技術
「オリハルコンにアダマンタインにミスリルか」
翌朝朝食を終えたオレは、日課である各種の報告を受けていた。
どうやら宙域の小惑星帯から試掘した、鉱石の中に含まれていた未知の金属の正体が分かったらしい。
「はい。海賊の財宝に物品を鑑定する効果のある、メガネがあったようです。一緒にあった書物から、鑑定メガネというマジックアイテムだとか。おかげで多少の時間的な違いはあれど、鉱石や財宝の惑星内での名称は判明しました」
元々試掘した鉱石の分析は進んでいて、この銀河にある未知の力に関わる金属であることは判明していた。
ただ、名称がはっきりしたことで、その金属の使い道もおおよそ判明したようだ。
まずはミスリルだがファンタジーで定番の魔法銀と言われる通り、未知の力で行使する魔法との相性がいい性質らしい。
アダマンタインはやはり硬さが特徴らしく、ギャラクシー・オブ・プラネットの合金と比べてもかなり優れてる。
オリハルコンは硬さはアダマンタインに及ばぬものの、神の力が宿るとされる金属らしく、検査ではオレ達をこの銀河に導いた力と同質の力を微弱ながら発してるらしい。
「ということは、やっぱりオレ達を導いたのは神様か?」
「そこは不明です。そもそも人のような意思がある存在なのか不明です。何かしらの影響によるプラス因子の力で、偶然私達をここに導いたとも考えられます。どちらにしろ推測以上の進展は、現段階では難しいです」
昨日ケティが神様なんて言って正直眉唾物だと思いもしたけど、偶然か必然かオレ達を導いた力が、こちらでは神の力と言われてる可能性がある訳だ。
「それと魔法という技術に関しても解析が進んでいます。先に挙げたマジックアイテムという技術を解析し取り込むことで、我々や司令も魔法を使えるようになる可能性があるようです。こちらに来た際に我々と司令の身体に宿った力が、現地の知的生命体が魔法力と呼ぶ力と同質らしいので。あと要塞シルバーンと各種艦艇の魔法対応の為の改修を前提にした、新規の調査研究をしたいと要望が出てます」
「研究を許可するけど、資源の備蓄はあまり減らしすぎないように資源入手しながらで頼む」
「了解しました。当面は新たな金属の研究と、魔法技術の解析に全力を上げます」
まあ神様の話はいいとして、ファンタジーの定番と言える魔法や金属がSFの技術で解析って凄いね。
もしかすると高度な魔法文明は逆にSFの技術を取り込めるのかもしれないし、最終的に両者の境目はかなり曖昧なものになるのかも。
正直現有兵器とバリアが有効なのは無人島の敵性生命体の駆除で判明してるから、わざわざ要塞や艦艇の改修って必要か分からないけど、研究しようとするのを止めるのもね。
宇宙は広くオレ達が使う資源の量なんて限られてるし。
万が一に備えて資源の備蓄を減らしすぎないならば、好きにしてくれて構わないかな。
「司令。昨日ジュリアが話していた冒険の件は、いかがなさるおつもりで?」
「どのみち情報収集の為に人員を出すなら、オレ達も行ってもいいんじゃないの? オレとエルとジュリアとケティで。特にやることないから暇だし」
「分かりました。では現地の文明とのコンタクトの準備をします」
ただ、問題はジュリアが希望というか熱望してるファンタジー世界の冒険なんだけど、エルは言葉にはしないが微妙に反対っぽい。
昨日ジュリアがエルの居ない隙に言ってたことが頭を過る。
気のせいかもしれないけど、少し意識しちゃうな。
オレ自身やはり人付き合いが苦手なので、どうするべきか考えが纏まらない。
まあ現地の女性に手を出さなきゃ大丈夫だろう。
娼館は当分おあずけだね。
アンドロイド達の纏め役であり、オレの心情から考えまで察してくれるエルの機嫌を損ねるのは得策じゃない。
正直根本的な解決には今しばらく考える時間が欲しい。
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