第13話・閑話・ファンタジー世界に戦闘機でやって来ました
「チッ!? またゴブリンかよ!!」
気が付けば見知らぬ惑星の森にオレは居た。
確かギャラクシー・オブ・プラネットのラストイベントである、最終戦争に参加して敵の戦艦に特攻したはずなのに。
愛機であるエネルギー切れのシューティングスター号と一緒にだ。
ただシューティングスター号は特攻のダメージでどのみち動かず、仲間や運営への通信は元よりサービス終了時間を過ぎてもログアウトすら出来ない状況は異常すぎるぞ。
どうなってんだよ。まったく。
オレは愛機を森の中に隠してひとまず人里を探したが、そこでオレが見たのはファンタジーの盗賊のような格好をした汚く臭く怪しい連中だった。
「臭え! おまえら臭えよ!」
「なんだてめえ!?」
「構わねえ。やっちまえ!」
人数は八人か。こいつらが何者か知らないが、生体強化されたオレの鼻にはコイツらの臭いは臭すぎる。
さっきのゴブリンモドキも臭かったが、運営は何考えてこんな臭えやつらばっかり作ったんだ!? 嫌がらせか!?
レーザーガンのエネルギーも無限じゃない。
こんなやつら相手に使ってられるか!
「てめえ……賞金稼ぎか?」
「あっ? おまえら賞金首か?」
やっぱりこいつらたいしたことねえな。これでも戦闘機の扱いと白兵戦は得意なんだよ。
さっきゴブリンモドキどもが持ってやがった、ボロ剣持ってきておいて良かったぜ。
「おいお前。ここは何処だ?」
「……迷子かよ。俺様も運がねえな」
「答えやがれ!」
「グハッ。……ここはゴルバニアの西の森だ」
おかしい。流石におかしすぎる。
八人の怪しいやつらを倒したが、辛うじて生きてるのは僅か一人。恐らく集団のリーダーだろう。
こいつの言ったゴルバニアなんて地名知らんし、何よりこいつらの血の量が多いことや死体が消えないのも不自然だ。
いくらリアルなVRと言ってもそれなりにグロ規制はあるし、オレはグロ規制を完全に解除した覚えはない。
特に惑星上の白兵戦の場合は、倒した相手はすぐに消える仕様のはず。
一体どうなってやがる。
西の森と言ったな。とりあえずコイツらの武器と金目の物を頂いて東に行くか。
特に最後まで生きてた奴の武器はかなり業物だろう。
なんかオレが盗賊みたいだが、こいつらは賞金首みたいだし構わんだろ。
腹へったな。さっさとログアウトして腹一杯飯が食いてえ。
早くゴルバニアとやらに行って他のプレイヤー探さねえと。
「どうやらオレは、異世界に迷い混んじまったらしいな」
なんとか日暮れ前にゴルバニアとやらに着いたが、そこは畑に囲まれた城塞都市だった。
入り口で一悶着あって、さっきの臭え奴らがこの辺りで有名な盗賊だということが判明。
問題はオレが拝借してきた武器が、盗賊の頭の物として有名らしくオレが盗賊かと疑われちまったことだ。
襲われたんで倒して、森に放置したって言っても信じねえし。
結局翌朝に兵士を連れてやつらを倒した場所まで戻って、動物か何かに食い荒らされた盗賊の頭の死体を見つけたことでオレの容疑は晴れて賞金を貰った。
ただ、町には期待したプレイヤーどころか運営の影も形もなく、信じたくないがここはギャラクシー・オブ・プラネットの惑星じゃねえ。
「白い飯が食いてえ」
リアルに未練などないが、ギャラクシー・オブ・プラネットが終わるからって自棄になって特攻したことは少し後悔するな。
別に異世界でも何処でもいいが、オレは白い飯がないと生きていけねえんだよ。
米を探さなきゃならんのか?
こんな何処とも知れねえとこで?
せめてシューティングスターが動けばなぁ。
「オレは諦めねえぞーーー!」
神様でも魔王でもいい!
オレに何かさせたいなら白い飯をよこせ!!
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