第9話・惑星降下とアンドロイド
結局無人島本島の制圧には三日ほど要していた。
最終的に大小様々な敵性生命体が二千以上居たようで、まさに魔物の楽園だったようだ。
「ようやく地上に来られたな。気温は少し暑いし南国のリゾートみたいになりそうだ」
「気候は亜熱帯に類する地域かと思われます。文明の栄えてる地域はこれより北側なので、南国の作物などが交易品に最適かと思われます」
そしてオレは無人島本島の安全を確保したことにより、副官のエルと護衛の戦闘部のジュリアに、万が一を想定して医療部のケティを連れて惑星に降下している。
三日の間にも宇宙からは続々と輸送艦で物資を降ろしていて、南部の砂浜は現在も物資集積所と化しているが、海はエメラルドグリーンで綺麗だし砂浜も白く綺麗なので、ゆくゆくはリゾート地のようにしたい場所だった。
ちなみに要塞シルバーンにも魚介資源育成を兼ねた人工の海と砂浜はあるが、やはり本物の方がいい。
「ところでジュリア。その格好は?」
「どうだい? 似合う? 現地に溶け込む為にはいいだろ?」
「そんな露出の高い格好した人いるの?」
「居るんだよ。それが!」
ただここで一番目立っていたのは、ビキニアーマーを着てバスタードソードのような武器を背負うジュリアだった。
赤いビキニを申し訳程度に鎧にした見た目だが、この惑星では魔法的な防御効果が働くらしく実用的な防具らしい。
実はこのビキニアーマーは海賊のお宝と一緒にあった物のようで、劣化した部分を修復して調査した後にジュリアが持ち出したようだ。
バスタードソードのような武器は昔ギャラクシー・オブ・プラネットであった、ファンタジー系MMORPGとのコラボ企画で手に入れたレーザー仕様のバスタードソードか。
同じ運営のゲームのファンタジー世界を開拓をするイベントとしてやったんだけど、いわゆるファンタジーっぽい見た目のSFアイテムがいろいろ登場して集めた記憶がある。
確か女性用の鎧型強化防護服もあったけど、ジュリアのやつあれは好みじゃないと文句を言ってたんだよね。
全年齢推奨なんで多少スカートが短いとかはともかく、あまり過激な服なんかは無かったんだ。
実はプレイヤーは生体強化されてるけど、有機アンドロイドはそれ以上に強化されている。
特にジュリアは戦闘タイプでも最高ランクのアンドロイドだから、単身で大気圏突入してもへっちゃらだしマグマや深海の中にもいけるはず。
オレは流石にマグマや深海は、個人用バリア仕様の強化防護服が必要になるけど。
「ジュリアは露出狂」
「誰が露出狂だい! 誰が! 毎日同じ服じゃ飽きる司令へのサービスだよ!」
「サービスはさりげなくするもの。貴女のは邪道」
「悪いね。アタシはさりげなく出来ないスタイルなんで」
「司令。ボディの改修を要望する」
「二人ともいい加減にしなさい!」
オレは基本的にボッチ体質だから、リアルで海なんて十年近く行ってないし分かんなかったけど、ビキニって裸よりエロい気が。
特に下半身なんかまあ凄いこと凄いこと。
ただオレがなんとなく見てると、ケティがジュリアに毒を吐き喧嘩になる。
この二人揃えるといつもこうなんだよね。能力はあるし仲が悪い訳じゃないんだけど。
結局エルが怒ると二人も黙るけど。ああ、一番怒らせちゃだめなのはエルになるかな。
本当に怒ると無言でキレて手がつけられなくなるから。
以前にオレを馬鹿にしたプレイヤーを、艦隊ごと降伏も認めず殲滅したくらいだから。
実はギャラクシー・オブ・プラネットでは、オレよりエルやジュリアの方が圧倒的に有名だったんだよね。
イベントとかで艦隊運用はエルに、白兵戦はジュリアに任せていたから。
本人達は気に入ってなかった二つ名もあったくらいだし。
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