第7話・無人島の現状と惑星の拠点
味方の部隊は南部にある砂浜から無人島に上陸して、森を制圧しながら北上していく。
先程のゴブリンの集落は先行した無人攻撃機による対人レーザー掃射により次々と滅ぼされていた。
ゴブリンもたまらず弓や槍のような武器を無人攻撃機に投げつけるけど、反重力エンジンの無人攻撃機に当たるはずもなく、当たっても問題にならない程度の攻撃だった。
「こういうのってリアルで見るとグロいな。人権団体とか環境団体とか発狂しそう」
「この惑星のゴブリンとオークと思わしき敵性生命体は、繁殖力が恐ろしくあるようなんです。しかも雄は別の種族と交配してもゴブリンの子を残せるようでして……」
無人攻撃機によるゴブリン集落の掃討は、見方を変えると虐殺に見えるな。
やっぱりゲームではないらしくゴブリンの死体は、グロい臓物や紫の血だらけの凄まじい光景でオレは思わず目を逸らしてしまう。
オレの時代でも過剰な人権屋や過激な環境屋は居たけどオレは正直好きじゃなかったし、敵性生命体の排除を非難するつもりも止めさせる気もない。
自分達の安全や生活を脅かしてまで敵性生命体と共存する気はないし、両親が亡くなった後に助けてくれた恩人に教えられたんだ。
自分の身は自分で守らないと誰も助けてはくれないと。
法は法を犯した者を裁き罰を与え更生するように努力するが、被害者を助けてくれる訳でも一旦失ったモノを必ず取り戻してくれる訳でもないと教えられたんだ。
「それって生態系壊すよね」
「はい。そこも敵性生命体の特徴のようです。マイナス因子の力により生きており、惑星を蝕む忌むべき存在に近いかと思われます」
「本当魔王だか邪神だか知らないけど、マイナス因子の親玉は居そうだね」
ゴブリンの集落を掃討した無人攻撃機はその後も島の中央付近にあったオークの集落を掃討していき、血の匂いを嗅ぎ付けて現れた他の敵性生命体も次から次へと掃討していく。
一方のアンドロイドとロボット兵の部隊はジャングルに近い未開の森をしらみ潰しに制圧しているので、些か時間がかかっているようだ。
基本的にロボット兵は索敵が出来るようなセンサーなど搭載されてないので、索敵と指示はアンドロイドが行い、ロボット兵はレーザーライフルで敵性生命体を撃つだけになる。
未知の力があるこの惑星で敵性生命体の完全排除が可能かは未だ分かってないが、一度排除してしまえば早々急激に増えることはないと思われるそうだ。
一応敵性生命体以外の動物は残す方針なので、もしかすれば彼らが敵性生命体へと変異する可能性は調査研究部から指摘されているけど。
現在調査研究部ではマイナス因子の力を防ぐバリアの研究をすでに始めていて、完成しだい無人島本島に展開したいと考えているようだけど簡単じゃないだろう。
それと倒した敵性生命体は回収して調査研究部のアンドロイドにより駆逐艦タイプの戦闘艦内にて調査された後に、一部はサンプルとして要塞シルバーンに運ばれ徹底的な調査研究をされることになる。
ここまではやってることが、ギャラクシー・オブ・プラネットでの惑星開拓クエストとほぼ一緒なんだよね。
調査研究して対策を立てて、方針を決めたら惑星を開発なりして導く。
まあここはゲームでないようだから、惑星内の文明に干渉する気はないだけで。
「司令。敵性生命体の掃討が終了した場所から拠点設営に入ります」
流石にギャラクシー・オブ・プラネットでも最高クラスのアンドロイドとロボット兵だけに、敵性生命体の排除もさしたる問題はないようだ。
南部の砂浜から続く森の中も見える範囲で敵性生命体の脅威がなくなると、空中揚陸挺により輸送艦から拠点設営の為の重機や資材を降ろしていく。
百年ほど前には海賊達が居たようで、中心部にある湧水の泉を中心に森を切り開かれた集落の跡が微かにある。
ただ今はそこがオークの集落と化していて、オークには作れぬような石造りの古い建物が僅かに残るだけだ。
すでに森以外は無人攻撃機で制圧しているので、工兵ロボットは南部の砂浜から中心部にある泉に向けて森を切り開き道を作ることから始める。
ちなみに無人島本島で砂浜があるのは南部だけで、東部と西部はゴツゴツとした岩場が広がり、北部は切り立った崖になっていて元海賊のアジトは北部の崖にある洞窟を海賊船が泊まれる港にしていた形跡があるらしい。
海賊船に関しては最後に海賊達が出ていって帰らぬままなのか、それとも百年の月日で海の藻屑と消えたのかは分からないみたい。
ただ洞窟の奥には海賊のお宝がたくさんあったようで、有名な海賊だったのかもしれないという。
他には特に目ぼしい物はない無人島だが、島の中心部から北部にかけては火山跡といえる小高い山があるくらいか。
潜水艦の基地や宇宙からのシャトルと輸送艦を係留する秘匿港は、海賊の港があった北部の崖のところに纏めて作る計画だ。
表向きな船を運用する普通の港も東側にある岩場に、北部の崖の内部を掘った土砂やら海底の水位を下げるために掘った土砂やらで埋め立てて小さいながら作るらしい。
何より周囲が危険な海なので、外部から船が来るとはあまり思えなく自分達で使うだけだろうけど。
でも落ち着いたらこの惑星をのんびりと旅でもしてみたい。
なのでこの惑星に故郷と呼べる場所があるのは悪くないだろう。
工兵ロボットや無人重機が次々と森の木々を伐採して道を切り開くのを眺めながら、オレは地上に降りる日を楽しみにすることになる。
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