第6話・惑星降下と敵性生命体
それから四日が過ぎて、オレ達がこの銀河に来てから一週間が過ぎている。
この日は拠点設営の為の惑星降下部隊と、それを支援する艦隊を要塞シルバーンから送り出していた。
惑星降下部隊は作戦司令部より一体、戦闘部から三体、調査研究部から二体、開発製造部から二体の計八体のアンドロイド。
それと五十体の戦闘ロボット兵と、二百体の工兵ロボット兵に多数の無人重機を降下させるみたい。
搭乗するのは大気圏内戦闘が可能な駆逐艦タイプの空中艦三隻、中型の輸送艦二隻を降下させる予定となっている。
拠点予定の無人島諸島は五つの島からなる小さな諸島で、湧き水が豊富な本島を中心に小さな無人島が四つほどあるようだ。
当然ながら敵性生命体も生息するので、敵性生命体の排除が第一任務となる。
ただ事前調査で島の敵性生命体はさほど脅威ではなく、寧ろ脅威は海中にあるとの調査結果があるんだよね。
ヘビにイカやタコに海竜らしき敵性生命体が、少し離れた周辺海域には出没するので危険な場所には他ならない。
「当然オレはお留守番か」
「司令が降下するには、せめて島の敵性生命体を粗方排除した後でお願いします」
「司令は戦闘のセンスないからね」
オレは降下部隊と支援艦隊を中央司令室で見送っている。
本当ならばオレも行きたかったんだけど、エルとアンドロイド達に反対されて断念していた。
特に戦闘部のエースであるジュリアに言わせるとオレは戦闘のセンスがないらしく、生体強化されたこの肉体でも戦闘は不向きで参加しないでと以前から言われてたっけ。
ゲームではプレイヤーも白兵戦になると自らアンドロイドを率いて先陣を切る者も居るが、オレは元々そんな柄じゃないので白兵戦は特にジュリアに任せっきりだった。
「後ろから射撃するだけなら得意だけど?」
「司令は味方との連携が下手なんだよ」
「ジュリア!」
「本当のことさ。今更変に気を使ってどうするよ」
加えてオレの最大の欠点は他人との連携が下手なことで、突き詰めるとボッチ体質にたどり着くことになる。
エルは気を使うが、ジュリアは言いたいことはハッキリ言うのでよく言われることだ。
ギャラクシー・オブ・プラネットを十五年もやっていたのに、フレンドが十人程度なのは恐らくオレだけだったろう。
他人と協力するよりは、一人でコツコツと単純作業を繰り返す方が好きなんだよね。
それにただでさえ他人と深く付き合うのが好きじゃないのに、ゲームをしてまで他人と一緒に居るのはごめんだった。
昔誰かに寂しくないかと聞かれたこともあったけど、強がりじゃなく本心から不思議と寂しいと思ったことないな。
アンドロイドを増やすとプレイヤーとの協力すら不要になったしね。
多分オレはギャラクシー・オブ・プラネットでトッププレイヤーに近かったんだと思うけど、基本的にプレイヤーとの交流が無いせいか、ほとんど知られてなかったはず。
さて、無人島諸島の周囲には知的生命体は皆無なので、降下部隊を乗せた艦艇の降下は真っ昼間の天気がいい時間に行われた。
「周囲に敵影なし。大気圏突入成功しました」
支援艦隊から離脱した降下部隊は危なげなく降下するも、大気圏内には飛行タイプの敵性生命体が存在するので、降下途中が一番警戒せねばならない。
そのため支援艦隊は軌道上から大気圏内への支援攻撃の準備をして送り出したが、無事に大気圏に突入した艦艇は自力飛行で目的地の無人島諸島の近海に着水した。
ただ無人島諸島には、宇宙から降下した艦艇を着陸させることの出来るほどの陸地はない。
従って海上からギリギリまで接近して小型の空中揚陸艇にて、まずは戦闘型のアンドロイド三体と戦闘ロボット兵50体が一番大きな本島に足を踏み入れた。
味方の部隊には無人攻撃機も投入していて、上空からもレーダーとセンサーを頼りに敵性生命体を排除していく。
しかし島の大部分は鬱蒼と生い茂る森になっている。
あまり派手にやると森を破壊しかねなく、森は拠点の資材にも利用できるので、大半はアンドロイドとロボット兵による人海戦術にて排除していくしかない。
「あれはゴブリンか?」
「恐らくそうではないかと」
「集落を作る知恵があるのか」
島の敵性生命体で一番最初に発見したのは、上空の無人攻撃機が発見したゴブリンらしき敵性生命体の集落だった。
ファンタジー世界ならば驚くことではないのかもしれないが、驚いたのは集落の周りに丸太で柵を作っていることと、原始的な縄を用いた縦穴式住居のような家を作ってることだろう。
「そういえば敵性生命体の判断基準は?」
「調査研究部によると私達をこの銀河に導いた未知の力はプラスの因子があるようですが、この惑星の敵性生命体はマイナスの因子により生きているようなのです。なお、惑星の知的生命体も私達と同じく、プラスの因子の力を持ってるようです」
「まさか魔王とか邪神なんて居ないだろうな」
「現時点では発見されてません。偵察機が拾った現地の知的生命体の会話によると、魔王や邪神、神などが存在すると信じてるようです」
「まあ中世レベルの世界に、魔物みたいな敵性生命体が居るんだから信じても不思議じゃないけどさ」
原始的な集落に獣の皮や石の槍など装備したゴブリンの姿から、見方を変えると、原始的な知的生命体に見えなくない
しかし根本的に生命体としての在り方が違うのか。
未知の力の件は調査研究部が今も調べているけど、現状で分かっているのは未知の力には属性がかなり複雑にあるということ。
特にオレ達をここに運んだ力は凄まじいエネルギー値らしく、あれで攻撃されたら要塞シルバーンとて無傷では済まなかったとか。
ただその力がプラスの属性であることだけは判明したようで、オレ達の状況は必ずしも悪いとは思えないんだよね。
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