第4話・新たな第一歩
「それでは対策会議を始めたいと思います」
惑星を発見して一時間後になると、オレはエルと各アンドロイドの責任者達と共に会議室にて、現状の説明と今後の対策会議を開いていた。
なお立場は司令官のオレに副司令のエル。
それと作戦司令部から二名・調査研究部から二名・開発製造部から二名・戦闘防衛部からはジュリアを含めて二名・医療部からはケティを含めて二名・資源管理部からは二名・民生部からは二名の計十六名での会議になる。
「まずは調査研究部から報告します。我々を要塞シルバーンと共にこの地に運んだ謎の力については、依然として不明ながら現宙域に存在する力であることが判明してます。司令の肉体及び我々のボディに宿った力も同様です。現状では推測しか出来ませんが、現宙域は全くの未知の銀河であり、未知の力はこの銀河にて存在するのに必要な力である可能性が高いです。なお追加調査として先に発見された知的生命体の惑星を、現地調査することを要望します」
「開発製造部から報告します。要塞シルバーン及び各種艦艇や設備は全て正常に作動してます」
「資源管理部から報告します。物資は戦闘をしなければ百年は持ちますが、不測の事態に備えて宙域及び惑星の資源調査を行うことを要望します」
「民生部から報告します。食料及び民生品は問題ありません」
進行役は副司令のエルが行い、各部署からの報告と要望があったけど、現状で分かっていることはあまり多くない。
そもそもここがギャラクシー・オブ・プラネットの世界なのか、それとも本当に未知の銀河なのかすら判明してない。
しかしすでにサーバーとの接続は切れており、ギャラクシー・オブ・プラネットが終了した事実を考えると、再接続の可能性はあまり高くない。
宇宙要塞シルバーンは自給自足型要塞だが、無から全ての資源を産み出せる訳ではないんだ。
有機物や食料などは種の採取をしていけば半永久的に持続可能だけど、金属資源や塩などの一部の資源はリサイクルするにしても外部からの入手するルートは欲しい。
「では謎のエネルギーの調査は引き続きお願いします。作戦司令部は宙域及び宙域の無人惑星の資源調査を始めることと、有人惑星での資源調査及び惑星降下の調査と準備をお願いします。なお知的生命体も確認されてるため、有人惑星に関しては惑星内に密かに拠点構築の後に、資源採取と情報収集を開始したいと思います」
結局会議は進み現状では調査と研究を続けることになり、有人惑星への降下も資源入手と情報収集の為に行うことが決定した。
なお、現在宇宙空間には知的生命体及びそれに準ずる存在は、確認されてない。
しかし要塞シルバーンを有人惑星の月軌道に乗せて、有人惑星から発見されぬように光学迷彩バリアで隠匿する。
特に敵影もないのでステルスモードで待機させて、周囲に警戒網と防衛拠点となる簡易基地を構築するための準備を始めることになる。
これがリアルの可能性がある以上は、ゲームのように惑星内の文明に干渉する気はない。
ただ資源入手先として確保しつつ、惑星の調査と星系及び星系外への調査を慎重に進める必要があった。
まあこの辺りは優秀なアンドロイドに任せるので、オレはほとんど提案を承認するだけなのだが。
「司令。ここでしたか」
会議が終わるとアンドロイド達と要塞シルバーンは本格的に活動を開始するが、オレは人工農園で途中だったサツマイモの収穫を再開していた。
「エル。どうかしたか?」
「いえ。その……。不謹慎かもしれませんが。私、少しホッとしてます」
「オレもだし多分みんなも同じじゃないかな」
何がどうなっているのか分からないが、オレにはここがリアルにしか思えなく、二度と地球には戻れないそんな予感がしている。
それでもリアルに未練などないし、こうしてエルやアンドロイドのみんなと一緒に居られるなら、それでいいと本心から思っていた。
「昔のラノベみたいだよな本当。仮想空間に居たら別の世界に飛ばされたなんて」
「宇宙の支配者でも目指しますか?」
「オレには無理かな。他人の面倒まで見たくない。エル達が居てくればそれでいいや」
「では、そのように」
収穫したサツマイモをどうしようかなと考えながらエルと話をするけど、運営も居なく筋書きのないリアルな未来なのに不思議と不安などない。
優しく微笑むエルの顔を見ると、オレも自然と笑みが溢れてしまうようだった。
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