第3話・ファンタジー惑星
その後オレはケティの検査を幾つか受けたのちに解放された。
肉体的には現状では特に異常はないとのことで、要塞シルバーン内ならば普通にしていていいそうだ。
後は検査の結果と調査研究部の結果待ちだが、そちらはオレに出来ることはない。
ギャラクシー・オブ・プラネットでは、プレイヤーは肉体を生体強化された生身の人間という設定になっている。
身体能力は常人と比較出来ぬほど高く、肉体の潜在能力解放という名目で超能力を多少使える新人類とされていた。
老化もしなく病気にも基本的にはならないのだが、頭脳まではやはりプレイヤーのままなので、研究などは一番出来ないことになるだろう。
最初は一隻の小さなボロ宇宙船で宇宙に出て、輸送業務に調査や護衛などをしながら資金や資源を貯めていく。
少しずつ宇宙船を改良したり武器を装備させたり、宇宙艦を買ったりすることから始めるんだ。
ただしアンドロイドを購入するようになると、自前で研究開発が出来るようになり選択肢は無限に広がる。
宇宙船からアンドロイドに食料や日常品まで、様々な物を資金や資源を与えて開発させていくことが出来る。
オレは古参のプレイヤーの一人なので最高ランクの研究型アンドロイドを20体抱えていて、規模はギャラクシー・オブ・プラネット内でもトップクラスだと思う。
結局未知のエネルギーの件は調査研究部に任せるしかなく、オレは現状把握の為に中央司令室に向かっていた。
「やあ、司令。元気になったみたいだね!」
「ジュリア。戦闘部は暇か?」
「まあね。周辺には敵影どころか人工物の欠片もない未開の宇宙だし」
途中で少し空腹を感じて要塞内の食堂に行くと、戦闘型アンドロイドのジュリアが暇そうにしてる。
二十歳くらいでブラウンヘアーにちょっと派手な顔立ちのお姉さんタイプの容姿にしたんだけど、性格が派手好きな姉御のようになっちゃったんだよね。
能力的には戦闘型アンドロイドでもピカイチで、戦闘・護衛・調査・潜入・工作と有能なはずなんだけど。
「そうか」
「本当何がどうなってんだろうね」
「分からんけどログアウトするよりはマシかな」
「アハハ。確かにアタシは消えて無くなるとこだったからね。それよりはマシだよ」
自らが消えて無くなるはずの日に、何処かの宇宙に放り出されたなんて本当に昔のラノベの世界だね。
オレは食堂でサンドイッチを軽く摘まむと中央司令室に行くが、ジュリアのポジィティブな性格で少し気が楽になる気がした。
「司令! 知的生命体の存在する惑星を発見しました!」
「知的生命体?」
「はい! 未開の宙域なので無人偵察機を派遣したところ、文明レベルの低い知的生命体の存在する惑星を発見。ただし敵性生命体との生存競争が厳しい模様。一部ドラゴンと思わしき危険な生命体も確認」
「ドラゴンってあの昔イベントでやった惑星か?」
「いえ全く未知の惑星です」
そのまま中央司令室に入ると、エルを筆頭に数体のアンドロイドが周辺宙域に生命体の存在する惑星を発見して沸いていた。
メインモニターには大気圏外から偵察機が撮影した映像が流れているが、全体としてはあまり開発が進んでない中世ファンタジーのような惑星だろう。
昔ギャラクシー・オブ・プラネットで行われた、同じ運営のVRMMORPGとのコラボ企画によるイベントを思い出すな。
ギャラクシー・オブ・プラネットのメインは開拓と戦争で、特に開拓は未知の宇宙に進出して基地を建設するばかりか、無人有人問わず惑星を開拓することもよくあるクエストの一つだった。
その中にはイベントで魔法のあるファンタジー惑星を開拓するイベントもあったし、ファンタジー対SFとして大好評を得たイベントがあったんだ。
奇しくも今回身近にあった惑星がそんなファンタジーのような惑星であり、オレ達はイベントではない現実としてファンタジー惑星と向き合うことになる。
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