5
里香さんは証人として法廷で自らのおぞましい体験を詳細に語らねばならなかった。
性犯罪に
「しばらく走ったところで、疲れもあって
その
でも番組の撮影期間は二週間ほどと聞かされていたので助けは望めない。自分でどうにかするしかない、と心を決めて、コテージからスマホを取ってくるこようとしました。そうして立ち上がった瞬間、背後から手が回ってきて何かを吸わされ、意識を失いました。
――それからどれくらい
それから森の中の開けた場所にいて、マットの上に裸で、
両手と両足は広げられた状態で、それぞれ地面に立てられた鉄パイプに手錠で繋げられていました。逆光で見えにくかったですが私の頭の上にもう一人、例のマスクを被った男性が立っていて、こっちに銃を向けていました。
行為に及んでいる男は覆面を外して胸を
すぐにもう一人の男性が私が目を覚ましたのに気付いて、『あの、顔を
被告人が舌打ちして体を起こすと耳元に小さいカメラが付いているのが見えて言葉の意味が分かり、抵抗しなきゃと思いました。
被告人の体勢が変わってさっきより
田口の供述によれば麻酔の効果が短いので目が覚める前に行為に及ぼうと気が
「それからは必死で右腕を振り回して被告人を何度も手錠で叩きました。早く離れてほしいという一心でした。彼はそれを
それだけは避けたかったので、しゃがみこんで近づいてきたADさんにも手錠を当てました。そしたら偶然彼の手に当たって銃が落ち、しかもこちらの手の届く場所だったので急いで拾いました。
その瞬間、被告人はもう立ち上がって両手を挙げていました。私は銃を二人に交互に向けて一カ所に集め、『それを外して』と言いました。被告人は不服そうな表情でズボンを
私は銃を構えたまま立ち上がって『服を』と言いました。二人が上着を脱ぎだすと、『下も』と、ズボンも脱がせ、『そこに置いて、手を挙げて離れて』と言って二人が遠のくと、ADさんのジャケットを拾って
それから被告人のズボンに入ってるスマホを取り出し、警察に通報しようとしたのですが、なぜか突然使えなくなって……」
カメラの映像もそこで
中断された映像の続きは里香さんの証言を頼る他ない。
「さっきまで電波が来ていたのに急に使えなくなったということは誰かが何かをしたんだ、と思い、私は『誰がやったんですか?』と二人に聞きました。反応が無かったのでさらに『知ってるならそこに連れて行ってください』と言いました。自分でもなぜこんな勇気が出たのか、今思い出しても分かりません。
そのあと二人は何か目配せしてから歩き出しました。私は銃を構えたまま付いて行きました」
両手を挙げた半裸の二人を先導として行き着いたのはコテージだった。
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