第7話 経済圏


 ポイ活(買い物で付与されるポイント取得をメインに据えて日々生活すること)を行う上で、ある特定のポイントカード運営会社を中心に、系列各社のサービスを利用して相乗的かつ効率的にポイントを貯めることを、

「経済圏に入る」

 と呼ぶ。


 主なものとして、ヤホーや白い犬んとこのpay pay、あとは楽天ポイント。

 dポイントも母体はNTTと、だいたいが通信キャリアもしくは、いわゆるコンシューマー(消費者向け)サービスであると言える。

 系譜としてやや独立しているのが、レンタルサービスの蔦屋が始めたTポイント(現在は三井住友カードと提携してVポイントと名を変えた)くらい?



 そういう訳で、自身がどの経済圏を選ぶかは、多分に自身の通信キャリアがどこと契約しているかという要因に依存する事が多い。

 もちろんpay payも楽天もdポイントも、各社の通信、ECサイト、金融、保険その他のサービスを利用していなくてもその恩恵を享受できるし、別にスマホを持っていなくてもポイントだけ貯める事もできる。

 でもやはり圧倒的に貯めやすいのはスマホの契約先が展開するポイントだろう。



 なので自然とその投資先もひとつに収斂されてゆく。


 KDDI<9433>。


 何より購入の理由として大きいのは私のスマホキャリアがauだからだ。

 というのもまだKDDIさんがKDDとDDIとIDOが合併する前のIDOユーザーだったことから、お付き合いはもう25年近くに及ぶ。

 スマホはおろか、ガラケーなんてもちろんこの世にない。PHSがようやく出始めて、まだポケベルを現役で使用している人もたくさん居た時代だった。


 私は今でも当時の、あるお付き合いで頂いた『テレポンポン』のエコバッグを使用している。

 テレポンポンとは、オールトヨタグループのキャンペーンキャラクターで、現在のPontaに近い茶色のタヌキっぽい『クーポンポン』と、KDDIさんのマイラインを合体させて、頭に受話器を乗せたタヌキらしき者だ。

 マイラインとは、事業者識別番号を電話番号の前に付けなくても、利用者が使いたい電気通信事業者を優先的に使用するサービスのこと。

 それまでは市外通話や国外通話をする際に、個別に契約している事業者識別番号をプッシュする必要があったが、その手間を省いて、自動的に契約する企業の回線を選択して通話してくれるようになったのがマイライン。

 それは元公社で市場独占状態であったNTT(旧・日本電信電話株式会社)経由じゃなくても、他の事業者経由で電話ができるようになった訳で、要するに価格競争で電話代が非常に安く……と、幾重にも説明が必要なくらいに大変面倒くさい昔の出来事だと申し上げておく。

 正直なところ私もまだ小学生~高校生頃のムーヴメントで詳しくは知らないから、改めて調査してみたがやっぱり面倒くさくて端折はしょる。

 関西芸人、東野幸治さんがコマーシャルをされていた『パパラジーコム』くらいにややこしいやつだ。



 話を戻す。

 KDDIさんも保有期間に応じてカタログギフトが3千円~5千円まで貰えた。

 またしても米を召喚できる、コメ畑の誕生である。

 村の耕作地の8割以上は米ないしは米に変えられるカタログギフトばかり。

 でも実家暮らしなら、米はいくらあっても良い。


 ちなみにKDDIさんは2025年3月度より優待を変更する予定で、Pontaポイント最大3千円相当になる。

 このまま利用しても結構だし、au payマーケット用途限定ポイントに交換すると、レートが1P=1.5Pに跳ね上がる。50%増だ。


 もとはau walletポイントという名称で、正直申し上げてやや使い勝手の悪い、独自のポイント世界を構築されていたauさんだったが、2020年より三菱商事系列のロイヤリティマーケティングと業務提携。

 グループで付与するポイントは全てPontaに統一された。



 それに先立つこと2015年春、ちょうどこのエッセイに書かれている頃、ロイヤリティマーケティングは、まずリクルートと資本・業務提携を結んだ。

 それまでホットペッパーグルメやじゃらんで貯まっていたリクルートポイントも、全てPontaになったので一気に貯めやすくなった印象はある。


 とはいえ、ケンタッキーには中々行く機会がないし、昭和シェル石油(現在は出光興産と合併して全国のSSはアポロステーションを名乗る)で給油するのは稀だし、ビックカメラならビックポイントの方がレートが良いし、紳士服のAOKIも独自のポイントの方が貯めやすい。まだ当時はスーパーのライフコーポレーションでも貯められなかった。和食レストランの大戸屋が撤退したのも痛かった。


 つまり私のPontaポイントはどこか宙ぶらりん。


 ビジネスホテルのルートインホテルさんは『おやきエッセイ』でご紹介済みだが、貯めたPontaポイントは年一回の大型休暇にこちらで消化していた。

「よっしゃ、一年苦労して貯めて一泊タダになった」

 とか言って喜んでいたが、冷静に考えればルートインホテルさんは税抜き百円で3ポイントも貯まってくれる。

 だとしたら、レートの良いルートインホテルさんで貯めて後でローソン辺りで使えば良かったのに、当時の私はまだまだ全方位で勉強中の愚かな身だった。


 ということで、au walletポイントが廃止され、全てPontaに統合されてから、私は完全にau経済圏の人、たぬきのお友達になったということだ。



 2023年9月、auはマネ活プランの開始を発表する。


 au本体の通信事業に加えて、au payカード、auじぶん銀行、auカブコム証券など、グループ各サービスとの連携によって大きなメリットを享受できるというものだ。


 既にau経済圏に居た私はプラン内容を吟味し、ショップに向かうとふたつ返事でマネ活プランに変更した。


 クレジットカードもゴールドへ昇格させるとさらにメリットがある。

 じぶん銀行の預金金利も増えるし、au pay残高が不課税で毎月800円貰えるし、カードを利用してもpayコード払いにしてもボーナスポイントが貯まる。コード払いへのチャージもクレカにすれば、ダブルでポイントが貯まる。

 思わずイイネ!せずにはいられない。



 資産形成への第一歩として固定費の見直しという大原則があり、大手キャリアじゃなくても格安SIMでも良いと考える方もいらっしゃるだろう。


「べつに株主だからって邑楽は何に見栄を張ってるんだ、マネ活プランならクレカがゴールドでなくても、auグループなら『UQ mobile』でもいいじゃないか」


 おっしゃる通り。

 でもお若い皆様のように最初から格安SIMという選択肢があった世代ではない。

 私が普段使いするスマホの通信容量とプランの価格を比較し、またau本体のスマホを保有するのとUQさんに変更するのとで、得られるポイントと削減できるコストを比較検証して「現状で良し」としたのである。

 配当金は実質、契約料金2か月無料みたいなものだから。


 資産をつくるにあたって、日々ずっと節約ばかりだと疲れてしまう。

 実際、私は物欲もないケチだが、年数回は旅行にいく。

 温泉に浸かり、山海の珍味に舌鼓を打ち、日本酒を楽しむ。

 そして新作のモチーフにならないか、その街をさまよい歴史を学ぶ。

 これだけは生活のメリハリとして維持している。

 ご自身が支出したい勘定科目には多少お金を出されるのも良いかと思う。




 コンビニ大手三社のうちのひとつ、ローソンは2024年7月をもって上場廃止、三菱商事とKDDIさんの持ち株会社となった。

 ローソン店内にあるローソン銀行のATMから、じぶん銀行に毎月入金を行い、さらに『ぽんたまATM』といってPontaカードを登録しておけば、月1回Pontaポイントをゲットできるサービスもある。

 こうなると、Pontaが俄然貯めやすくなった。ライフやケンタッキーはオマケ程度で、ルートインホテルさんも年に数泊だと考えたら、ほぼKDDIさん一社で貯めていると言っても過言ではない。


 たまたまIDOのPHSを保有していたから、そのままau経済圏に入っただけのこと。本当は各社のサービスを比較検討するのが良いのだろうが、既に株主にまでなってしまった以上、私はKDDIさんと共に成長していくことを決めたのだ。

 


 ちなみにKDDIさんは購入直後の2015年4月に1対3の株式分割をしている。これは要するに持ってる株を3分割しますよってこと。

 つまり勝手に保有株が3倍になる。

 もちろん配当は3分の1になるし価値も3分の1になるのだが。

 ところが「株主優待は同じ百株なら水準を落としません」と発表されたので、私は分裂した残り2百株を売却して、それで利益を得て新しい株を購入した。


 これからも度々登場する『ミトコンドリア作戦』である。


 これ以降も優待の水準が変わらないのならばと、つい売却してしまう事が続いたのだが、今の私ならば分裂した後のミトコンドリア達も含めてガチホールドするのに、と若干の反省もある。

 何故なら株価も業績も基本的には中長期的に見て上昇・拡大するのがほとんどどの会社も同じだから。

 現にKDDIさんは当時の水準で分裂後の倍の株価になっているし、配当も倍となっている。

 当時の私はまだまだ若いし、投資家としても未熟であった。


 とはいえ、やはり株の長期保有は強い。

 ミトコンドリアのおかげで村も大きくなった感もある。

 それはその時々に適した投資手法を採用しただけ、ということで反省はするが後悔しても遅いことは無駄なので、前向きに捉えることにした。

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