第13話 昼食のひと時
思わぬ所で勝利を拾った私は戦利品のカレーパンを3つ抱えて教室へ戻ると国東くんは大きなお弁当を広げて食べていた。私が国東くんへカレーパンを渡すと満面の笑みで受け取り
「サンキュー川村。」
と軽い感じでお礼を言いすぐに袋を開けて齧りついた。私はお弁当を食べながらカレーパンも食べるのだと気にはなったがそこは突っ込まずにいた。
それから私は瑞穂と机を合わせて昼食を取ろうとすると、隣のクラスのから香我美も来て一緒にランチタイムとなった。香我美は開口一番に
「あっ! 購買のカレーパンじゃないか! 」
とカレーパンに食いついた。私はお弁当も有るしカレーパンを香我美へ譲った。香我美は私へお礼にオレンジジュースをくれ
「感謝するぞ巴! 」
そう言いカレーパンへ齧りついた。そしてひと口食べると
「購買部のカレーパンは周りはサクッとしているのにパンはふっくらとして甘味が有るのと、中の旨味たっぷりのトロットロのカレーがギッシリと詰まっていて本当に旨いな! 」
と満面の笑みになった。その隣で瑞穂は
「私もお弁当あるけん巴ちゃん半分こしよ。」
そう言ってカレーパンを半分に手で割いて私へくれた。私達はお弁当とカレーパンを食べ終わると香我美は私へ言った。
「巴の弁当は実に美味しそうだったが母上の手作りか? 」
「そう見える? これ実は私が作ってるんよ。」
そう自慢気に答えると
「えっ? 巴ちゃんお弁当も作りょると? 最近ホント何でも頑張りょるね。」
「そうなのか? しかも筋肉に良さげなメニューでもある。嫁に欲しいぐらいだ。」
瑞穂と香我美が褒めてくれたことに私は益々気持ち良くなった。しかしまあ楽しいのはここまでで私の所へ2人が集まっているのは他でもない、今朝の私と臼杵くんの事であろう。もちろんその話題はハッキリと物を言う香我美から切り出された。
「巴、あれから臼杵はどうだった? 私が少し言い過ぎたのかもしれん。」
「言い過ぎたって言うよりも臼杵くんの気持ちがいっぱいいっぱいだったみたい。」
「あれから臼杵の事を担任へ話したのだが、『ああ』とか『そうか』なんて言うばかりで具体的な方針は示されなかった。あと、どうも臼杵を虐めているのは他校の生徒らしくこちらから連絡を入れてみるに留められた。」
「あん人たち他校の生徒やったん。特にあの長身で金髪の人とか巴ちゃんを叩いたんよ。」
「他校って? 」
「
香我美は私達へ今の臼杵くんの状況を教えてくれた。その後ろで何故か国東くんがこちらを見ていて目が合った。すると国東くんは手を軽く上げて
「カレーパンありがとな旨かったで。」
そう言って立ち上がり教室から出て行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます