第2話 私の記憶
―――私の記憶の先月
私は、陸上部の練習を終えて帰宅していた。私は短距離走の選手で県予選を1位で通過して、全国大会への向けて一生懸命に練習をしていた。ヘトヘトの状態で夕陽が落ちて暗くなる中を、練習の事を思い返しながら歩いて帰っていた。
そして家の近くの横断歩道を渡ろうとした時に私の身体は急に空へと舞い上がった。横断歩道の横に立っていた街灯のライトが顔のすぐ近くまで来た光景は眼に焼き付いていた。その後で激しく地面に打ち付けられて呼吸が出来なくなり、私は慌てて立ち上がろうとしたが立ち上がれずに動かない右足を見ると、私の自慢の右足は赤く染まり曲がらない筈の方向に曲がっていた。私はそれを理解しようとしたが血の気が引いてしまい、その場に倒れ込んで意識が朦朧となった。
「大丈夫か!轢き逃げや!」
と、誰かの声がするが私はその声にも反応できずにうっすらと見える真っ黒な空を眺めていると、目の前に同じクラスの柔道部の『
「川村!大丈夫か!?聴こえるか?救急車呼んだから!聴こえるか?」
と何度も声を掛けてくれた。私は少し頷く事しか出来ずにいると、それでも国東くんは私に声を掛けてくれて...
そして、私は気付くと病院のベッドに寝ていた。体を起こそうとするが全身が痛くて動けずに、ただボンヤリと映る天井を眺めていた。そんな私の顔を覗き込み、私の母が涙を流して、私の頭を撫でている。
「良かったぁ。巴の意識が戻って良かったぁ。」
そう隣に立つ私の父に話し掛けていた。
「お父さん。お母さん。私、どうしたん?」
私は二人にそう尋ねると、父は眉間に皺を寄せて神妙な面持ちで
「巴。お前な昨日の夜に学校の帰りに車で跳ねられたんや。犯人はそのまま逃げたんやが、お前の同じクラスの国東くんが全部見とって警察と救急に連絡してくれてな。父ちゃんと母ちゃんが来るまで面倒見とってくれたんや。後でお礼を言わなつまらんで。」
そう言うと父はいつもの優しい顔に戻り、私の頬を撫でた。父の眼鏡の奥の眼は少し潤んでいた。すると母が父の肩をポンと、軽く叩いて私に向って
「あんたの意識が戻ったから、今から医者の先生が来るから、私とお父さんは受付に寄って一回帰るから。先生の言う事ちゃんと聞かなつまらんよ。」
そして病室から父と母は出て行くと、代わるように医者の先生と看護師さんが私の病室へと入ってきた先生は
「気分は悪く無いですか?」
と私に訊きながら、私の眼にペンライトの光りを当てて覗き込んできた。私は眼に光りを当てられながら
「全身が痛くて。」
と返事をすると、先生は今度は私の胸に聴診器を当てながら。
「そうでしょうね。点滴に痛み止も入れとくから、ゆっくり休んでください。」
と言うと看護師さんを残して、私の病室から出て行った。看護師さんは私の腕へと繋がる点滴に注射器で何かを入れて、私はそのまま眠ってしまった。
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