第6話 解決!してない
ミイラの後ろにいた大蛇は、その体の半分以上が消滅しており、やがて完全に消滅する。
マナミは刀を収めると、ミイラに近づく。
ミイラは先ほどまでとは違い、抵抗することなくただそこに横たわっている。
その顔を見るとミイラは目を見開き、その瞳には涙を浮かべているように見えた。
「マナミ、少将に連絡」
「さすがに疲れたわ、サトル、お願い」
「へいへい」
そう言うとサトルは少将にミイラの討伐に成功したことを伝え、迎えを待つことにする。
「今のうちにアヤカさんにも連絡入れといたら?」
「ほんっとあの人腹立つわ、こんな大仕事になるなんて思ってなかったよね」
「まあねえ、でもまあこないだの島の事件よりは二千年前のミイラの方がいいかなあ」
「ああ、うん。それもそうね」
「思い出した。あの時さ、私、結構な重傷だったんだよ?」
「うん、そうだねえ」
「なにそれ? 私の事心配じゃないの?」
「だってマナミは無事だったし。傷もすぐ治ったしね。そもそも僕なんかよりよっぽど頑丈にできてるしねえ」
「ふんっ! 知らない! で? 今回のこれ、どういう事だったの?」
「ん~、まあいいじゃん。あ、アヤカさんに報告しておくね」
そう言ってケータイを操作し始める。
「え~! もう! いいから教えなさいよ! 何がどうなってこうなったのよ!」
「マナミ、それ、全部わかってないよね?」
「なによお! だめなの?」
「あ、それよりほら、迎えが来たみたいだよ」
森の奥から黒い車がやってきて、二人の前で止まると後部座席のドアが開き、二人が車に乗り込むと静かに走り出した。
――――――
拠点についたマナミとサトルはシャワーを浴び、少しの休憩の後、少将の元へ向かう。
「お待たせしました」
「いや、本当にご苦労だった、礼を言う。おかげでミイラも無事回収できた。君たちは本当に優秀なイレイサーだ。本国への報告も済ませた、ぜひ本国で」
「ちょっと待ったあ!」
サトルが突然大声で叫ぶ。
「なんだ? うるさいぞサトル。急に大声を出すんじゃないわよ。びっくりするでしょうが!」
「いや、すみません。ですが、この任務ちょっとおかしいんですよ」
「なに言ってんの? サトル」
「少将、ミイラって普通に倒せるものなんですか?」
「え? 何言ってるのサトル、ミイラは私たちの敵よ? そんなの常識中の常識でしょ?」
「うん、まあそうなんだけどね、あのミイラってそんなに強かったかなって思っただけ」
「……確かに、言われてみれば、わりと苦戦したけど、あっさり終わったような気がする」
「でしょ? 僕もそう思う。だから少将、僕らはもう少しここで調査したいんですけど、いいですかね?」
「ふむ。しかしだね、ミイラも回収でき問題は解決したんだ。もういいんじゃないかね?」
「少将、僕らに何か隠してませんか?」
サトルの言葉に少将は表情を変えマナミをチラリと見ると少将は諦めたように話し始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます