第4話 ミイラは魂の器
「我々の特殊部隊がミイラを発見次第、マナミたちにはイレイスを行ってもらいたい」
少将は短く言うと無線に向かう。
「報告を待つ間、少し君たちに聞いても良いだろうか?」
「なんでしょう?」
「マナミ殿、サトル殿、あなたたちはなぜイレイサーに?」
「ああ、こいつの家ですねえ」
「サトル!」
「へいへい」
「申し訳ありません、イレイサーの出自はお話しできないことになっています」
「そうか、それは申し訳ない。まあエジプトのイレイサーも元々魔術や呪術と深い関係があるのだろうからな、日本もそうなのだろうと思ったのだ。では能力については聞いても構わないだろうか? 戦闘になった場合に備えて聞いておきたい。マナミ殿はどんな能力を?」
しかしその質問にも答えようがない。
魔法や超能力だと答えても無意味だからだ。
そう答えると残念そうに
「ふむ、そうか。残念だが仕方あるまい。では、そろそろ連絡がはいる頃だ。マナミ殿、準備を頼む」
「了解しました」
マナミたちが準備を始める中、サトルは先ほどまで見ていた資料を思い出す。
ミイラと言えば古代エジプトというイメージが強いが、実は古代ヨーロッパ、アメリカ、オセアニアでもミイラ化は行われていた。
(ミイラは魂の器だって言ってんのになんで残っちゃうかなあ、まあ仕方ないか)
サトルが思っていると特殊部隊から連絡が入る。
ミイラ発見の知らせではあったが、その連絡はすぐに途絶えてしまう。
「少将、先ほど申し上げましたよね? 軍の装備では『憑き者』には対抗できませんと」
「マナミ、今それ言っても仕方ないでしょ、少将だって仕事でやってんだから」
「でも!」
「今はそんな事よりミイラのとこに向かった方がいいんじゃないかな?」
「う、うるさいわね! わかってるわよ! 少将、場所を!」
「ここから三キロ北の森の中だ」
「了解、行きましょう」
そう言うと二人は走り出した。
数分後、ミイラが発見されたという森に到着した二人が目にしたのは倒れている数人の兵士の姿だった。
「遅かったみたいだね」
サトルが一人の兵士に近づき脈を確認すると、ミイラの攻撃を受けたのだろう、すでに死亡していた。
辺りの様子を探るとミイラが通った跡には血痕が残り、地面がえぐれていた。
その痕跡を追っていくとミイラがいたと思われる場所にたどり着く。
「マナミ」
「うん。いるね」
「さて、どうする?」
「どうするも何も、やることは決まってんでしょうが。やるっきゃないでしょ?」
「だよねえ。んじゃ、行くか」
サトルが言い終わると同時にマナミは刀を抜き構える。
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