イレイサー:File08_カフラ王の呪い(oriental version):憑き者落とし『イレイサー』の現代版
UD
第1話 マナミとサトル
「マナミ~、おーい、マナミ~」
どこかからマナミを呼ぶ男の声が聞こえる。
「呼んでおるぞ、返事をしなくてもよいのか?」
「ちっ。うるさいなあ! あっち行って!!」
軍人のような格好をした男がマナミに尋ねるがマナミはとても面倒そうに答えていた。
「あ、そっちかぁ。いくねぇ」
叫んでいた男はマナミの声に向かって返答をする。
「来ないで! もう来るな!! って、来たよ」
「ここにいたの~、迷っちゃってさあ。あ、どうも」
とても不機嫌そうなマナミに男は全く気付く様子もなく男に挨拶をする。
「しっかしなんでそんな格好してんのよ、サトル」
「仕方ないじゃないか、なんか考えてたらこうなっちゃったんだから」
サトルと呼ばれた男は確かに変わった格好をしていた。
白いパンツに白いジャケットの両袖に白いフリンジがたくさんついている。いわゆるエルビスだ。
どう見てもエルビスを意識したとしか思えない格好をしている。
戦士がいろいろと考えている間もマナミとサトルは話し続ける。
「だからなんで今からイレイスに行くのにエルビスなのよ!? それならまだいつものピザ屋の格好の方がマシだわ!」
「え~? マナミが言ったんだよ? なんかカッコいいのにしろーって」
「かっこいい? かっこいいっていうのはなぁ! ターミネーターとかケンシロウとかそういうかっこよさだろ? せめてこの人みたいな軍人ぽい格好で来いよ!」
「ぽい、ではなく私は軍人なのだが……」
聞いていない。
「なんでエルビスなのよ! ほんっとうにわかんないわ」
「マナミ殿、そろそろこちらの話をしたいのだがな」
「ああ、申し訳ありません、アフマド少将。このバカのせいで」
神妙な顔をするマナミに向かって
「バカじゃないよ。お前だっておかしな格好してるじゃないか。それは何のイメージなんだよ?」
なぜかサトルが煽る。
「こ、これは、いいじゃない、なんでも!」
「あれだろ? 剣士とかだろ? 分かりやすいんだよ、マナミは」
「さすらいの剣士よ」
「ほらな、やっぱりそうだよ。お前はね、昔っからそうなんだよ、なーんかさすらうよね」
「いいじゃないよ、私がイレイスするんだから。サトルこそなんでエルビスなのよ。ほんと申し訳ありません、アフマド少将。こんな格好で」
「いや、まあ少々似つかわしくはないかもしれないがまあそれほど、いや、おかしいか」
アフマドと呼ばれた軍人が言う。
「まあ、気にせず行きましょう」
本当に気にしていないようでサトルはあっけらかんと言う。
「いや、お前が言うのかよ!」
マナミはあきれ果てている。
※ こちらの作品はイレイサーFile00のコンバート作品です。
オリジナルはこちら
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