第83話 護衛衆

 流石の女中頭も想定外の出来事のようで、足早に地下牢から座敷牢へ戻り、屋敷の虎口へ向かう。朧も楽しそうに、おゆらの後についてくる。


「薙原家で商いを取り仕切る篠塚家か。獺殿からも、あまり詳しく聞かされておらんからのう。如何なる人物か楽しみじゃ」


 大手門が見えてきた時、朧が他人事のように言う。


「篠塚家は、分家衆の出世頭で御先代の側近。御先代の代わりに、外界の銭貸しや唐物屋の差配を任されていたほどです。然し我々の意図を察知した当主は、本家屋敷に留め置かれていた一人娘を八王子の大店に移し、中立の立場を取りました。中老衆が粛清された後は、娘の千鶴様に家督を譲り、无巫女アンラみこ様や薙原本家に叛意を示さないように、服従を示す書状や貢ぎ物を送り、銭という力を蓄えたうえで、再び権力を取り戻すおつもりなのです。事実、篠塚家の家蔵は、分家衆の中で飛び抜けております。頭の堅い年寄衆も俗物ばかり。黄金きがねを見せつけられたら、旗色を変える者もおりましょう。それを見越したうえで、无巫女アンラみこ様のお許しを頂き、堂々と薙原家に帰属する腹積もりかと……本当に食えない御仁です」


 言葉こそ丁寧だが、焦りを隠し切れていない。


 篠塚家の前当主とは、如何なる女傑じゃ?


 おゆらを慌てさせる人物など、マリアと奏以外に思い浮かばない。それに語りながら、論点をすり替えている。


「前置きが長いのう。儂は千鶴と申す者に興味があるのじゃ」

「そうですね。帑亞翅碼璃万崇ドアシマリマス様と別の意味で厄介と申しますか……お会いになれば、すぐに分かると思います」

其奴そやつも中二病か?」

「中二病ではありません。然し似たようなものかも……どうか御自身の目でお確かめください」


 おゆらも投げやりである。

 余程千鶴について語りたくないのだろう。余興が増えたと言わんばかりに、朧は喜色満面で虎口に入る。

 いつものように、大手門は開かれていた。

 蛇孕村に、薙原家の屋敷に忍び込む愚か者はいない。それに本家屋敷には、定期的に米俵や舶来品が運び込まれる為、大手門は日が沈むまで開け放たれている。

 二人が大手門を潜ると、橋の向こうに人垣ができていた。

 おゆらの柔和な笑顔が凍りつき、朧が目を丸くする。

 二人が動じるのも無理はない。

 本家屋敷の前に、武士の一団が整然と並んでいるのだ。

 兵の数は、五十余りになるだろうか。皆一様に、分厚い板札いたざねの当世具足を身につけていた。前立まえたてのない頭形兜ずなりかぶと面頬めんぼお喉輪のどわ横矧胴よこはぎどうと袖と籠手と草摺くさずり佩楯はいだて臑当すねあて。左腰と腹に大小。右手に一間半の持槍を携えている。武士は合戦の時、自分の武具を自前で調達するものだ。足軽や野伏が用意できる装備ではない。

 同時に姿を見れば、彼らの出自も窺い知れる。高価な鎧を着慣れた者。最低でも徒士。或いは騎乗の身分まで上り詰めた武士が禄を失い、篠塚家の警備兵として雇われているのだろう。

 篠塚家の資金力を如実に示す光景である。

 武装した軍隊の前に、金紗金襴で装飾された乗物が置かれていた。

 趣向の限りを尽くした駕籠は、本家が使用する乗物より派手だ。

 静かに木戸が開くと、美しい娘が現れた。

 煌びやかな光沢を帯びた練緯ねりぬきで仕立てられた打掛うちかけは、金糸銀糸で蝶の刺繍が施されている。打掛うちかけの下に纏う小袖も、宮廷の姫君の如き高価な唐衣からぎぬ。顔の造作も派手な装束に負けていない。切り揃えられた睫毛まつげに、生意気そうな目付き。端正な鼻筋と薄紅色の唇。縦に渦を巻く長い髪をなびかせ、胡蝶を模した鼈甲べっこうの髪留めをしていた。

 乗物から出てきた娘は、おゆらの姿を見つけると、羽扇子を振り回しながら、苛立ちの視線をぶつけてきた。


「一体、どういうおつもりかしら? わたくしは篠塚家の当主ですわよ。分家の当主を門前で待たせるなど、無礼としか言いようがありませんわ。本家の女中頭は、篠塚家を軽んじているのかしら?」

「滅相もない事でございます。然れど蛇孕村に御帰還なされるのであれば、事前にお報せ頂かないと――」

「何故、分家の当主が、本家の奉公人に気を遣わなければならないのですか? 抑も面倒な文の遣り取りなど、わたくしの性に合いませんわ。篠塚家の当主であるわたくしが、直々に蛇孕神社へ伺候すれば、すぐにでも解決する話ではありませんか。野鳥の如き疎遠な遣り取りなど、貴重な時間を空費するだけですわ」

「一応私も分家の当主なのですが……もしや无巫女アンラみこ様の許に?」


 額に血管を浮かべながらも、おゆらは柔和な笑顔を崩さなかった。


「勿論、真っ先に蛇孕神社へ参りました。残念ながら、无巫女アンラみこ様は下拝殿で瞑想に耽ておれらるとの事。それゆえ、奏様に着到ちゃくとうの御挨拶をせねばと、本家の御屋敷に伺候したのですが……まるで厄介者のような扱いですわね」

「それこそ心得違いでございます。篠塚家こそ薙原家を支える大黒柱。篠塚家の繁栄なくして、薙原家の繁栄はありません」


 心にもない事を言いながら、不機嫌そうな千鶴を宥める。


「その言葉を聞いて安堵致しましたわ。わたくしが留守の間に、本家は篠塚家の忠功を忘れているのではないかと、少しばかり懸念しておりましたの。どうやらわたくしの杞憂のようですわね。大坂の母上にも、そのようにお伝えしておきますわ」


 途端に機嫌を良くした千鶴が、羽扇子で口元を隠す。随分と単純な性格のようだ。おゆらの社交辞令を真に受けている。


「それで奏様は何処いずこに?」

「奏様は、先日から体調を崩しております」

「まあ!?」


 千鶴が驚いて目を丸くする。


「御心配には及びません。当家の御殿医の見立てによれば、軽い風邪との事。今は休息こそ第一。何卒、日を改めてお越しください」

「ヒトデ婆の見立てなどアテになりませんわ。すぐに八王子から贔屓の医者を呼びましょう。昨今、外界に蔓延る『新型しんがた殺那ころーな』という疫病をうがい薬で治す名医ですわ」

「その儀は無用に願います。その医者は、ただの騙り者です。暫く休息を取れば、奏様の体調も回復に向かいましょう。それより現状を改善してください」

「騙り者? 現状の改善とは?」


 千鶴が首を傾げると、おゆらが笑顔で畳み掛ける。


「彼らは篠塚家の私兵ですか?」

「ええ……勿論です」

「本家の御屋敷の門前に兵を並べるなど、それこそ前代未聞でございます。いたずらに民の不安を煽るような真似は慎んでください」

「民の不安を煽るなど……左様な事は有り得ませんわ! この者達は、篠塚家の護衛衆です! 村人に危害を加える事はありません! 母上も左様に申しておりましたわ!」


 心外とばかりに、千鶴が声を張り上げた。


「蛇孕村に御帰還なされたのも、御母君の御意向ですか?」


 笑顔の仮面を貼り付け、おゆらは話題を変えた。


「当然、母上のお許しは得ております」

「……もう結構です。千鶴様の度量は、分家衆でも随一。私の考えが及びませんでした」


 右手で額を押さえながら、女中頭が会話を打ち切る。


「ふふん、分かれば宜しいのですわ。次からは気をつける事ですわね」


 逆に篠塚家の当主は、勝利の笑みを浮かべていた。

 二人の遣り取りを眺めていた朧が、おゆらの説明の意味を察した。確かに一目見れば、十分に人柄を推察できる。

 高慢で気位が高い御嬢様。

 加えて世事に疎い。八王子の大店を任されている筈だが、おそらく奉公人に経営を丸投げしているのだろう。場の空気を読む事もできなければ、おゆらの皮肉も通じていない。

 朧が二人の遣り取りを意訳すると、このような感じとなる。

 千鶴が開口一番、おゆらに言い掛かりをつけてきたので、「蛇孕村へ戻るなら、事前に書状で報せてくれよ。此方も出迎えの準備が必要なんだよ」と皮肉を込めて言い返したが、まるで通じていない。

 それで「まさか蛇孕神社に伺候していないだろうな? 本家より派手な乗物に乗り、男子禁制の蛇孕岳に軍隊を引き連れて向かうとか、お前馬鹿なの死ぬの?」と遠回しに尋ねたが、都合の良い解釈で勝手に納得し、本家屋敷に出向いたと言い放つ。

 おゆらも相手をするのが馬鹿らしくなり、「奏様は病気だから、今すぐ軍隊を連れて帰れ」と方便を用いたが、真に受けた千鶴が医者を呼ぶと騒ぎ出す。

 流石に堪忍袋の緒が切れたのか、「武装した軍隊を屋敷の前に並べて、本家を威喝するつもりか? お前、本家女中衆と殺し合う覚悟があるのか? 覚悟がないなら即座に軍隊を撤収させろ」と穏便に警告したものの、篠塚家の私兵だから大丈夫と意味不明な弁解で開き直る。

 篠塚家の護衛衆は、蛇孕村の住民から恐れられたりしないと、根拠もなく信じているようだ。女中衆や巫女衆ならともかく、多くの住民は武装した軍隊を見た事がない。動揺するなという方が無理だ。

 途中で会話を断念したおゆらが、「お前みたいな馬鹿娘が、この時期に帰還するなんて思いつく筈ないよな? 母親の差し金か?」と問い掛けた処、前当主の関与を明言する愚かしさ。

 最後に千鶴の度量を称えていたが、あれは「お前みたいな馬鹿は、薙原家でも他にいないわ。あまりにも馬鹿過ぎて、私にも想定しきれないわ」という意味である。全く褒めていないのだが、おゆらに舌戦で勝利したと思い込む千鶴は、羽扇子をぱたぱたと動かす。

 朧は一人で得心した。

 中二病というより、ただの幼稚なお姫様だ。

 尤も幼稚であるがゆえに、おゆらも行動が予測できない。

 無論、虚言で騙すだけなら容易いが、千鶴を謀略に利用すると、彼女の母親が介入してくる。最悪、篠塚家と正面衝突になりかねない。奏とマリアに蛇孕村の独立を阻止された為、外界に拠点を置く篠塚家と対立しても、薙原本家に何の利益もない。意味もなく、薙原家全体の商売に支障を来すだけだ。

 結局、千鶴を無碍に扱うわけにもいかず、おゆらは頭を抱える羽目となる。

 加えて蛇孕村に来た時期が、最悪と言う他ない。

 血腥ちなまぐさい謀略が露見し、奏の信頼をなくしたばかり。面の皮の厚い女中頭が、深い溜息を漏らすわけだ。

 さらに今更と言うべきか。朧の存在に気づいた千鶴が、ぴしりと羽扇子を突きつけ、居丈高に詰め寄る。


「貴方……見掛けない顔ですわね。名乗りなさい」

「渡辺朧と申す。一応本家に仕える武士じゃ。別に覚えんでもよいぞ」

「武士!? 本家は武士を召し抱えたのですか!?」


 千鶴は驚いて喚声を上げた。


「何を騒いでおる。お主も大勢の武士を召し抱えておるではないか」

「護衛衆は牢人です。牢人を召し抱えるのは、有徳人の常識。本家とは、事情が違いますわ」


 彼女の言葉は、意外に当を得ている。

 豊臣秀吉が天下を統一したとはいえ、急激に諸国に治安が良くなるわけではない。合戦の度に乱取を繰り返してきた足軽や透波が、盗賊や野伏に転身。関ヶ原合戦で家禄を奪われた武士も、多くは盗賊に身を堕としている。

 巨万の富を有する有徳人は、盗賊や野伏の標的になりやすい。それゆえ、己の命と財産を守る為、腕の立つ牢人を積極的に雇い入れた。単なる用心棒の枠を越えて、武装兵団に膨れ上がる例もある。篠塚家の護衛衆が、分かりやすい実例だ。

 勿論、金銭的な契約に基づく雇用関係に過ぎず、雇い主に対する忠誠心など持ち合わせていない。次の仕官先が見つかるまでの腰掛けに過ぎないが、それでも合戦を専らとする武人の集まり。易々と盗賊や野伏相手に、後れを取る事はあるまい。

 朧の見た処、篠塚家の護衛衆は良くも悪くもない。

 とにかく出自の確かな牢人者を掻き集めたのだろう。その弊害であろうが、全体的に二十代の若手が多く、年配の戦巧者が見当たらない。

 寄せ集めの混成軍ではあるが、幾度も実戦経験を積み重ねれば、精強な武士団に成長するかもしれない。それまでに護衛衆が全滅していなければの話だが。


「篠塚家の護衛衆は、唐入りや関ヶ原合戦で活躍した猛者ばかり。本家女中衆のように、どこの馬の骨とも知れぬ者など一人もおりませんわ」

「……」

「それに護衛衆の筆頭は――この者ですわ!」


 朧の冷たい視線に気づかず、千鶴は有頂天で護衛衆を紹介した。


「ぬわ~はっはっはっ! ようやく吾輩の出番か!」


 豪快に笑いながら、護衛衆の最前列に人影が現れた。

 その者の姿を視認した時――

 おゆらは右手で顔を覆い、朧も瞬きを繰り返した。

 彼女達が驚くのも無理はない。目の前に、黄金の鎧を纏う武者が、偉そうに佇立しているのだ。

 身の丈は六尺四寸。身の重さは三十七貫。目方が朧の倍を超えている。力士と言われても驚かない巨漢だ。

 黄金の獣毛を植えた総髪形そうごうなりと呼ばれる兜に、黄金に輝く獅噛しかみの前立。惣面と喉輪。金糸でおどした最上胴もがみどう。袖や籠手や草摺や佩楯や臑当。具足も小具足も全て純金。右手に携えた持槍も純金製。二間を超える長さで、槍穂が笹の葉に似ており、刺突と斬撃のどちらにも使える。金色に輝く腰に帯びた打刀。腹に帯びた脇差。大小共に純金で飾り立て、柄に金糸を巻きつけるという徹底ぶり。糸巻きの柄は握りづらく、汗や血で手の内が濡れると、刀を振る時に滑り落ちてしまう。非常に使いづらい武具だからこそ、中二病は好んで使いたがる。

 黄金に輝く装備を揃える為に、どれほどの銭を費やしたのだろう。

 明らかに有徳人の道楽を超えている。

 この時点で中二病と断言しても構わないが、これで終わりではないのだ。

 赤地の布に墨で、



『毎日が誕生日 ヽ(´▽`) 』



 と書かれた旗指物を、背中にゆらゆらとなびかせていた。


 毎日が誕生日?

 お主、今何万歳?

 何故、己の誕生日を己で祝っておるのじゃ?


 同じ中二病の朧でさえ、どこから突っ込めばよいのか分からない。

 黄金甲冑の武士は、威風堂々と二人を睥睨した。


「吾輩の中二ぶりに驚いて、まともに声も出ないようだな! 是は説明しなければなぬまい! 吾輩は天下無双の中二病――ばん団右衛門だんえもん直之なおゆきである!」

「塙団右衛門! あの塙団右衛門か!」

「然り然り! やはり関東の山奥にも、吾輩の雷鳴は轟いておるようだな!」


 嬉しそうに、護衛衆筆頭が胸を張った。

 確かに塙の名は、風の噂で聞いた事がある。

 おそらく武に携わる者なら、誰でも一度は聞いた事があるだろう。

 塙団右衛門直之。

 尾張国の生まれと言われているが、生い立ちに不明な点が多い。一説には、織田信長の重臣――塙直政ばんなおまさの親族という話もある。諸説を挙げると枚挙にいとまがないが、織田軍に所属していたようで、宴の席で他の武士と喧嘩騒ぎを起こし、出世の道から外されたという。無名の雑兵として戦場を渡り歩いていたが、本能寺の変で信長が横死。羽柴秀吉が台頭した事で、彼の人生に転機が訪れる。

 地縁によるものか、仲間の伝手によるものか。理由は定かではないが、加藤かとう嘉明よしあきの家来として取り立てられたのだ。

 加藤嘉明とは、賤ヶ岳七本槍の一人に挙げられるほどの武将だ。賤ヶ岳合戦の武功により、僅か二十一歳で三千石取りに昇進。秀吉の天下統一事業に貢献し、着実に戦国大名の道を突き進んでいた。

 塙団右衛門が歴史の表舞台に立つのは、秀吉が天下統一を果たした後。慶長の役の初戦――漆川梁しっせんりょうの戦いの時である。

 主君の加藤嘉明は、九鬼くき義隆よしたか脇坂安治わきさかやすはると水軍を率いており、旗指足軽の塙も敵方の舟を奪い取り、日本軍屈指の手柄を挙げる。

 さらに――



『天下夢中 (^・ω・^) 』



 という旗を掲げた所為で、日本軍の誰よりも目立った。

 唐入りの武功で騎乗の身分に出世した塙は、関ヶ原合戦で鉄砲足軽組を率いる物頭に任じられている。天下分け目の合戦で、虎の子の鉄砲隊を預けられるくらいだから、嘉明からも期待されていた。然しその期待が裏目に出る。

 合戦が始まると、何を血迷うたのか、副将の制止を振り切り、単騎で西軍に突撃したのだ。結果的に東軍が勝利したからよいが、塙の役目は鉄砲隊を指揮する事。明確な軍令違反に他ならない。

 仔細を聞いた嘉明が、激昂するのも無理からぬ事だろう。


将帥しょうすいを務め得べからず」


 お前に部隊を率いる能力はない――と他の家臣の前で非難したのだ。

 これで終わればよいのだが、


「七本槍風情が吹きおるわ」


 と塙も負けじと言い返した。

 その途端、真冬の蝦夷島えぞしまかというほど、正木まさき城内は凍りついた。

 賤ヶ岳合戦の際、子飼いに有力な武将を持たない秀吉が、若手の家臣の武勇を喧伝する為、彼らの活躍を過剰に脚色して広めたのは、誰もが知る処であった。実際、福島正則は「脇坂と同列に扱われるなど迷惑だ」と強弁したり、加藤清正も七本槍の武勲を訊かれるのを嫌がるなど、武士の間では虚名に近いと思われていた。

 然し本人の前で「前線で活躍した一兵卒が、『秀吉(最高指揮官)眼前に於いて一番鑓を合せ其働き比類なく候』とか有り得なくね?」と尋ねる者などおらず。当人の前で語る者がいるとすれば、救いようがない中二病に他ならない。

 もはや誰にも救いようがないので、加藤家から出ていく事になるわけだが。

 正木城から出奔する際、


遂二江南こうなんノ野水二留マラズ

 高ク飛ブ天地一閑鷗いちかんおう


 という漢詩を正木城の大手門に貼り、堂々と伊予国から飛び出したのだ。当然の如く嘉明は激怒し、諸侯へ奉公構を出した。

 それゆえ、どこの大名家からも仕官の声が掛からないと聞いていたが、篠塚家に金銭で雇われていたのか。

 捨てる神もあれば、拾う神もありと言うが……こんな馬鹿でも拾う物好きがいるのだから、朧の想像以上に世の中は広い。


「天下に雷名を轟かせた豪傑を召し抱えるほどの財力! これこそが篠塚家の誇る最強の力ですわ! お~ほっほっほっほっ!」

「ぬわ~はっはっはっはっ!」


 千鶴の甲高い笑い声と、塙の銅鑼声が響き渡る。


「……」


 他の護衛衆は、特に追従する様子もなく、無言で後ろに佇んでいた。

 彼らも好きこのんで、高飛車な令嬢や頭の悪い猪武者に与しているわけではない。家族を養う為に、恥を偲んで耐えているのだ。篠塚家の護衛衆には、古強者こそいないが、常識人が多いのである。


「千鶴と申す成金は、合戦に疎いのか?」


 俗人の苦労が理解できない朧は、呆れた顔でおゆらに尋ねた。


「……商人あきんどの娘ですから」


 おゆらは迂遠に言葉を濁した。

 正しく世情を理解していれば、突撃馬鹿……どころか、馬鹿の代名詞のような武士を護衛衆の筆頭に据えたりしないだろう。母親の苦労が偲ばれるというものだ。

 本当に――

 この娘は、天下無双の猪武者を従えて、何をするつもりなのか?

 加えて未だに、場の空気が読めていないようで、自分達が浮いている事にすら気づいていない。苛立ちを通り越え、朧は感嘆の声を漏らす。


「今日は珍しき日じゃ。本物の虚氣うつけが、儂の目の前に二人もおる」

「貴方! 先程から徒士の分際で生意気でしてよ! おゆらさんもおゆらさんですわ! 何故、徒士の無礼を叱責しないのですか!?」


 ぶんぶんと羽扇子を振りながら、ぷんすかと怒る千鶴。


「本家火急の砌と聞き、軍備を整えて帰郷したというのに……わたくしの想像以上に、薙原家の風紀は乱れているようですわね」


 何気なく呟いた言葉に、おゆらと朧の表情が変わった。


「本家火急の砌とは、如何なる事でしょう?」


 即座に笑顔の仮面を被り直し、おゆらは胸の前で両手を合わせた。女中頭に同調したわけではないが、朧も神妙な面持ちとなる。

 无巫女アンラみこが狒々神の襲来を予言したのが、五日前の朝。蛇孕村から八王子までの距離は、往復で二日から三日という処か。つまり一日で狒々神討伐の準備を終え、蛇孕岳に護衛衆を派遣した事になる。

 世間知らずの暗愚と甘く見たか。

 恐るべき情報収集能力と軍事編制能力だ。行軍の速度も神速と恐れられた羽柴軍の中国大返しに匹敵する。

 朧が警戒を強めると、途端に千鶴は上機嫌となった。他人の関心を集めていないと、気が済まない性分なのだ。


「当家の情報網を甘く見ていたようですわね。奏様が美作の牢人衆に御命を狙われているという事は、すでに承知しておりますわよ」

「「――えッ!? そっちッ!?」」


 思わず二人が、頓狂な声を発した。

 古い。

 あまりにも情報が古過ぎる。

 奏が岩倉に襲われたのは、六月の上旬。二十日以上前の出来事だ。それも本家が頼んだわけでもないのに、今頃兵を引き連れてくるとは……本家に貸しを作るつもりで来たのだろうが、女中頭の悩みの種が増えただけ。

 朧の視線も冷たくなるばかりである。


「だからどうしてわたくしをそのような目で見るのですか!? これではまるでわたくしが場違いのようではありませんか!」


 千鶴が喚き散らすが、二人の反応も冷めたものだ。

 これ以上、馬鹿の相手をしても無益。適当な方便で追い返そうと、おゆらが口を開き掛けた時、塙が一歩前に進み出る。


「汝ら……何か勘違いをしておるのではないか? 吾輩が土産も持たずに、此処へ来たと思うておるのか?」


 二人を見下ろし、仰々しい態度で挑発する。


「八王子に集結した牢人衆……すでに吾輩が討ち取った!」

「――ッ!?」


 朧が両目を見開く。

 おゆらも一瞬で笑顔の仮面を被り直した。


「それは真でしょうか?」

「説明せねばなるまい! 八王子は篠塚家の拠点の一つ! 牢人衆の情報を集めるなど造作もなき事! 一名程討ち損ねたが、吾輩一人で二十五名も討ち取ったわ! 勘繰るのであれば、後で首実検でも致すがよい!」

「そ……そうですわ! わたくしの護衛衆は、奏様の御命を狙う不届き者を半分も成敗したのです! 後は江戸に潜むという三十余名だけ! わたくしの護衛衆に馬喰峠を守らせれば、他の牢人衆も返り討ちにできますわ!」


 ここぞとばかりに、千鶴の護衛衆の実力を誇示する。

 確かに――

 篠塚家や護衛衆に対する認識を改めなければなるまい。

 彼らを連れてきたのは、八王子に集う牢人衆を一掃し、本家に恩を売りつけてから、悠々と蛇孕村に凱旋する為か。十中八九、千鶴の母親の差し金であろうが、世間知らずの一人娘と突撃馬鹿を巧みに使い、愚策と見せかけて最善の策を講じてくる。

 加えて事もなげに、二十五名の牢人衆を討ち果たしたという塙団右衛門直之。

 彼の傲慢な態度はともかく、覇天流の門人は決して弱くない。集団行動の苦手な中二病揃いだが、それも己の力量に自信があるからこそ。関ヶ原合戦で斬り伏せた足軽や雑兵とは、全てに於いて格が違う。

 三年前に、朧も三十名余りの門人を叩きのめしているが、互いに木剣を用いての試し合い。殺し合いではない。二十五名の武芸者を真剣勝負で討ち果たせるかどうか……実際に試してみなければ、朧でも確信が持てない。


「汝らは、屋敷の中で隠れておればよい。覇天流だかなんだか知らんが、あの程度の田舎剣法なら吾輩だけで十分よ」


 傲慢な物言いで、塙は二人を睥睨する。

 おゆらは笑顔の仮面を崩さない。狒々神討伐に利用できないかと、頭の中で策を巡らせているのだろう。

 片や朧は――

 獰猛な殺気を抑えようともせず、好戦的な笑みを浮かべていた。

 覇天流を侮辱されても、今更気にもならない。それより覇天流の門人を二十五名も斃した塙という武士に、非常に興味が湧いてきた。


 斬りたい。

 大刀の抜き付けで胴を狙うと、如何なる反応を示すか?

 袈裟懸けに斬り込んだ時、如何に袖を使うて防ぐか?

 組討に持ち込んだ時、当て身が通じるか否か?


 全ては斬り合わなければ、分からない事だ。

 獰猛な殺戮衝動が、胸の内から込み上げてくる。無意識のうちに、右手が大刀の柄を握り締め、抜群の身体が戦闘の準備を始めていた。


 これは我慢能わぬやも――


 朧が鯉口を切りかけた時、


「何をしている?」


 背後から声を掛けられた。

 常と異なる声音に、朧は耳を疑う。

 朧が驚愕するほどだから、おゆらが硬直するのも無理からぬ事。

 桶を手にした奏が、二人の背後で佇立していたのだ。


「水を汲みに外へ出てみれば……庵の警護は見当たらない。大手門が騒がしい。何の騒ぎですか、これは?」


 奏が冷たい声で問い掛けてきた。

 僅か二日ばかりで、奏は別人のようであった。

 ろくに寝ていないようで、端正な面立ちに疲労の色が浮かんでいる。双眸は暗く淀んでおり、声音も抑揚を欠いていた。


「奏様、これは――」

「どうしてお前がここにいる?」


 おゆらの釈明を遮るように、奏が冷淡な口調で詰問した。


「僕は蟄居と命じた筈だ。それなのに、なんで御屋敷の中をうろついている? 誰の許しを得て、女中部屋から出てきた? 次は誰を殺すつもりだ?」

「……申し訳ありません」


 弁解のすべを持たないおゆらは、主君に頭を下げるしかない。

 朧が胸の内で嘲笑する。

 奸臣の窮地を眺めるのも悪くないが、先に重要な話を進めておかないと、狒々神討伐に間に合わなくなる。

 それは朧の本意ではない。


「ふむ……儂から説明しよう。御曹司の命が狙われておると聞いた成金が、自費で兵を揃えてきたゆえ、褒め称えて恩に着ろと申しておる」

「左様な話は致しておりません! 奏様に御挨拶する前に、なんという事を言うのですか!」


 千鶴は必死に弁解するが、あながち外れていない。


「抑も成金とはなんですの!? 漫画マンガ板芝居アニメの言葉を持ち出されても、わたくしには理解しかねます! それにおゆらさんが蟄居!? もう何が何やら……わたくしにも分かるように説明してください!」

「で――成金と一切関係なく」

「無視!? このわたくしをガン無視!? このような侮辱を受けたのは、生まれて初めてですわ……」


 怒りで身を震わせる千鶴を尻目に、朧は状況の説明を続ける。


「嘘か真か存ぜぬが、狒々神が現れるそうじゃ」

「狒々神?」


 奏が眉根を寄せて、鸚鵡返しに尋ねた。


「蛇女の予言じゃ。今日の昼頃、馬喰峠に狒々神が現れると、数日前から予知していたのよ。女中頭が御曹司の下知に背いたは、狒々神討伐の支度を進める為。儂も狒々神討伐に加われと持ち掛けられた」


 朧は意味ありげに嗤う。


「……」


 おゆらは嘲笑を受けても、沈黙を保ち続けるしかない。


「それで他の分家衆が動いていないのか……」


 苦々しい口調で呟くと、奏は千鶴に視線を向けた。


「狒々神討伐は、千鶴さんに一任します」

「ええええッ!!」


 唐突に大任を与えられた千鶴は、羽扇子で顔を隠すのも忘れて叫んだ。


「事情があって、今は本家の女中衆を動かせません。他の分家衆も、狒々神討伐に向かう様子がない。だから今すぐ動かせるのは、千鶴さんが連れてきた兵だけです。蛇孕村を守る為に、篠塚家の力を貸してください」

「……狒々神というのは、絵物語に出てくる狒々神ですか? わたくしにあの狒々神を討ち取れと?」

「そうです」

「左様に仰せられましても、わたくしに兵法の心得などございませんわ。それに評定も行わず、篠塚家が単独で挑んでよいものか。大坂の母上に相談致しませんと……」


 千鶴は動揺の色を深め、しどろもどろになるばかり。

 然し千鶴の反応を予想していたのか、奏は冷静に説得を続ける。


「評定を行おうにも、分家の当主が集まりません。現在の薙原家は、政が停滞しているんです。誰も上意を決められないなら、本家の血を引く僕が決めるしかない」

「はあ……」

「それに千鶴さんが、兵を率いる必要はありません。それこそ自分の部下に任せておけばいいんです。狒々神を退治した暁には、僕から无巫女アンラみこ様に願い出て、篠塚家に感状を送ります」

「それは真ですか!?」

「篠塚家を騙す理由がありません。それに今後、千鶴さんが評定に出席し、薙原家の政道に関与する権限も与えます。大坂の御母君も喜んでくれると思いますよ」


 投げやりな口調で付け加えると、千鶴の表情が一変した。


「是非ともお任せくださいませ! 狒々神の一匹や二匹、篠塚家の財力を用いれば、お茶の子さいさいですわ!」


 途端に瞳を輝かせ、ぶんぶんと羽扇子を振り回す。

 无巫女アンラみこの署名を添えた書状に、薙原家の評定に復帰する権利。どちらも薙原家で復権を望む篠塚家からすれば、喉から手が出るほど欲しい物だ。その二つを得る為に、二年前から蛇孕神社に御布施や進物を捧げてきた。これまでの土下座外交も報われる。確認するまでなく、千鶴の母親も首を縦に振るだろう。


「さあ、護衛衆のみなさん! 今こそ本家に忠誠を示す時ですわ! 狒々神を打ち倒し、蛇孕村を救うのです!」


 恩賞に釣られた千鶴は、喜色満面で護衛衆を鼓舞した。


「……」


 然し護衛衆の反応は芳しくなかった。

 抑も余所から来たばかりである。

 薙原家の話題についてこれないのだ。

 護衛衆が困惑する中、塙は持槍を担いで考え込む。


「ふ~む。いまいち事態を把握できておらぬが……流石は坂東の山奥。未だに妖怪が出没するのか」


 呆れたように言い放つと、塙は雇い主に目を向けた。


「辺境の村落を襲う妖怪の討伐。本来の役目から外れておるが、その分恩賞も与えられよう。左様であるな、千鶴殿」

「勿論ですわ! 狒々神を討ち果たした暁には、恩賞望み次第です! この篠塚千鶴が御約束致しますわ!」

「おおっ――」


 雇い主が褒美について明言すると、俄に護衛衆も活気づいた。


「妖怪を一匹退治するだけで、篠塚家から恩賞を授けられるのだ! これほど簡単な役目もあるまい! すぐに軍議の支度を始めよ!」

「おおおお!」


 筆頭の指示に喚声で答える護衛衆。


「軍議を始めるなら、別の場所でお願いします」


 士気満面の兵達を冷たい目で見つめながら、奏はぽつりと呟いた。


「承知致しましたわ。奏様は、御屋敷にて吉報をお待ちください」

「……」

「それでは失礼させて頂きますわ」


 奏の感情を押し殺した顔に気づかず、千鶴は優雅に一礼すると、篠塚家の屋敷へ向かうように指示を飛ばし、派手な乗物に乗り込んだ。

 金紗金襴の乗物と共に、護衛衆も本家屋敷から離れていく。

 大手門から人集ひとだかりがいなくなると、


「御曹司、ちと相談があるのだが――」


 朧は奏の前に回り込む。


「儂も狒々神討伐に参加してよいか?」

「――」

「無論、庵の警護を忘れたわけではないぞ。然れど禍津神マガツガミの脅威も無視できまい」

「――」

彼奴きゃつらの邪魔は致さぬ。どうか儂を信じて貰えまいか」


 豊満な胸の前で両手を合わせ、朧が上目遣いで懇願する。

 余程狒々神討伐に参加したいのだろう。放蕩三昧の娘が両親に小遣いをせびるようにも見えるが、中二病なりに主君を立てているのだ。


「……好きにしてください」


 暫く黙考した後、奏は冷たい声で許可した。

 どのみち篠塚家の護衛衆は、狒々神について何も知らないのだ。薙原家の関係者を同行させないと、何もできずに全滅という事も有り得る。


「流石は御曹司じゃ。話が早うて助かる」


 これから化物退治に向かうというのに、朧は美貌を緩ませる。

 軽い足取りで駆け出そうとした時、朧は不意に足を止めた。


「おおっ――その前に、大事な案件を忘れておった」


 わざとらしく大袈裟に言いながら、おゆらの後ろで振り返る。


「この女を如何致す?」


 おゆらの肩が、びくりと震えた。

 奏は神妙な面持ちで、俯くおゆらに軽侮の視線を浴びせた。

 まさに絶体絶命の状況である。

 難民の叛乱騒動により、奏とおゆらの信頼関係は破綻した。もはやおゆらは、奏が守るべき家族ではない。薙原家の静謐を乱す奸臣。叛乱の混乱に乗じ、常盤を殺害しただけでも万死に値する。

 信賞必罰に則るなら、主君を謀る女中頭に罰を与えなければならない。

 奏が口を開く前に、おゆらが蝋の如く白い顔を上げた。


「私は――」

「耳を貸すなよ、御曹司。その女は、また御曹司を謀るつもりじゃ。狂言自殺をしたり、『奏様の手で御手打ちに』などと言い出すぞ」

「……」

「虚言と謀略を好み、己の偽装に抜け目がない。先度の叛乱騒ぎが良い例よ。目的の為なら、無辜の民を根絶やしにしても構わぬと思うておる。加えて御曹司に蟄居を命じられておきながら、独断で狒々神討伐の支度を行う始末。薙原家の面目を守る為やら、蛇孕村を守る為やらと、場当たり的に大義名分を掲げておるが、初めから主君の意志を蔑ろにしておる」

「……」

「儂も諸国を渡り歩いてきたがの。是ほどの外道は見た事がない。息を吐くように、悪意と絶望を撒き散らす。さながら質の悪い疫病のようじゃ。諭しても拘束しても、その女は決して止まらぬ。たとえ蛇女に妖術を封じられても、己の目的を果たす為に、無辜の民を殺し続けるであろう。それを止める手立ては一つしかあるまい」


 朧は嗤いながら、おゆらを追い込んでいく。


「薙原家の為に命を擲つ……と本人も申しておるからのう。覚悟のほどを示す良い機会ではないか。なあ、御曹司」


 厚めの唇の端を吊り上げ、ちらりと奏の顔を見遣る。

 奏の表情は変わらない。

 冷たい目でおゆらを見つめていた。


「無論、本家の政に口を挟むつもりはないぞ。然れど女中頭の任を解くのは、もはや確定事項であろう。その後、役職を解かれた女中を如何に処すか……御曹司が好きに決めてくれ。儂は下知に従うだけじゃ」


 言いながら大刀を抜き、おゆらの首筋に刃を当てた。

 自由に決めろと勧めておきながら、当人はこの場でおゆらを殺すつもりだ。

 敬愛する主君に見捨てられ、無様な死に様を晒す。

 これこそ朧が望んだ通りの展開。十年も主君を謀り続けた奸臣に、相応しい末路と言えるだろう。


「そうですね」


 奏が暗い顔で、ぽつりと呟いた。

 ついにおゆらを処断する覚悟を決めたのだろう。

 朧は喜悦を隠しきれず、三日月の如く唇を曲げて嗤う。

 主君が罪状をつげようとした刹那、


「ああ……」


 糸が切れたように、おゆらは地面に倒れ伏した。




 騙り者……詐欺師


 一間半……約2.38m


 六尺四寸……約192㎝


 三十七貫……約138.75㎏


 獅噛……獅子の頭


 小具足……胴・兜・袖以外の物を指す。具体的には、籠手や脛当などの事。


 二間……約3.78㎝


 旗指足軽……戦場で大将の旗を掲げる足軽


 蟄居……謹慎


 感状……主君などが部下の戦功を賞して出した文書


 恩賞望み次第……土地や金銭など、家臣が主君に恩賞の要望を提示する事。合戦に勝利すれば、家臣に望む物を全て与えるという意味ではない。

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