第30話 蝉の夢

 慶長四年うるう三月上旬――

 墨川家の屋敷は、昨年に改築されたばかりだ。

 さながら武家屋敷の如き豪邸である。墨川家の当主の意向もあり、豪華な庭園も造られていた。本家屋敷に劣るが、様々な樹木が生い茂る。

 この季節、最も目を引くのは、桜の木だ。

 屋敷の濡れ縁に座るおⅡは、何気なく桜の花びらを見ていた。舞い落ちる花びらに、自然と視線が吸い寄せられる。


 綺麗……


 白い花びらを目で追うと、大きな庭石の上に落ちた。

 母が言うには、屋敷の庭に相応しい河石を遠国より取り寄せたそうだ。母の趣味は、庭園の造営と練緯ねりぬきの蒐集である。

 桜が舞い散る庭園を眺めていると、「遅刻遅刻~っ」と聞き覚えのある声が、おⅡの耳に飛び込んできた。


「あ……玲奈ちゃん」

「……」


 玲奈は親友の呼び掛けに応えず、全力疾走でおⅡの前を通り過ぎ、自分から大きな庭石にぶつかった。


「いった~い! もう! どこ見て歩いてんのよ!」

「――」


 尻餅をついて怒鳴るが、庭石は何も応えない。

 着物が乱れている事に気づき、慌てて太腿を両手で隠しながら、頬を赤らめて上目遣いに問い掛ける。


「……見たでしょ?」

「――」

「嘘! 絶対に見た! しらばっくれても分かるんだから!」

「――」

「ふん……別にアンタの手なんか借りなくても、一人で立てるんだから」


 小袖についた汚れを落とし、玲奈が一人で立ち上がった。

 当然の如く、庭石が手を差し伸べたりしない。


 ……何、この一人芝居?


 おⅡは状況についていけず、ぽかんと玲奈の乱行を静観する。


「本当ならぶっ飛ばしてる処だけど、まあ……お互い不注意っていうか? 不幸な事故だし? 今回は許してあげるけど、二度目はないんだからね!」

「――」


 ビシッと人差し指を向けるが、庭石が応える筈がない。

 玲奈は屋敷の庭を押し潰さんばかりの沈黙や、おⅡの冷たい視線もどこ吹く風と言わんばかりに、一仕事終えたような顔で振り返った。


「やっほー、元気してた?」


 玲奈が軽やかな足取りで縁側に近づいてくる。

 年齢は、おⅡと同じ十四歳。明るい茶色の短髪で、瞳から生気が満ち溢れている。黄色の小袖に白い湯巻。薙原本家の女中装束だ。


「私は元気だけど……玲奈ちゃんは正気?」

「酷いなー。別に乱心したわけじゃないぞ。ツンデレの練習をしていたのさ」

「ツン……デレ?」

「普段はツンツンしてるけど、好きな人と二人きりになると、急にデレデレになるの。この落差に、世の男共は萌えるのよ。分かる?」

「よく分かんない……」

「いかんいかん。いくらおⅡが可愛くても、ツンデレぐらい修得しておかないと、好きな男子に『つまんない女』だと思われるぞ」


 おそらく漫画マンガの影響を受けたのだろう。

 物知り顔で、唖然とするおⅡに持論を語る。


「因みに暴力はいけないぞ、暴力は。理不尽な暴力系ツンデレは、男子からも嫌われるらしい。今度、あたしの実家にある漫画マンガを貸そう。ツンデレを制する者は、世界を制す! 二人でツンデレの道を極めるのだ!」

「玲奈ちゃんの母上のお許しを得てからね」

「大丈夫! 母上は、おⅡが借りパクするなんて思わないから!」

「多分、玲奈ちゃんが疑われると思うな……」


 右隣に腰を下ろした親友に、おⅡは用意していた麦湯を勧める。


「グラシィアス」


 遠い異国の言葉で礼を言いながら、玲奈は湯飲みを受け取った。

 いつも活発で裏表がない。

 おⅡの理想を体現したような娘だ。然し言動が過激過ぎるというか、巷で言う処の中二臭い。まだ子供なので大目に見て貰えるが、来年は十五歳。そろそろ周囲の視線も厳しくなる頃だ。

 例えば、田中家の当主が一年前に代替わりした。

 田中家の先代当主――田中たなか帑亞翅碼璃万崇ドアシマリマスが中二病を拗らせたからだ。

 本家の家蔵を横領した挙句、「成道なりみち半端ないって! 後ろ向きで鞠めっちゃトラップするもん! そんなんできひんやん普通、後ろ向きで――」と意味不明な供述を繰り返し、まともに意思疎通もできなくなった。

 結局、帑亞翅碼璃万崇ドアシマリマスは出世の道から外されて、本家当主が溺愛する猶子の世話役に回されたという。帑亞翅碼璃万崇ドアシマリマスが本家当主のお気に入りだから、隠居と左遷と罰金で済んだのだ。本来であれば、情状酌量の余地もなく死罪である。

 いつか帑亞翅碼璃万崇ドアシマリマスと同じ道を辿るのではないか。

 親友としては、玲奈の将来が心配でならない。


「はあ……和みますなー」


 おⅡの懸念を余所に、玲奈は麦湯を飲んで和んでいた。


「そ・れ・で……あたしに何の相談をしたいのかにゃ?」

「え? なんで分かるの?」

「生まれた時から親友してるしねー。突然、おⅡの家に招かれたら、大事な相談があると気づくんだにゃー」

「……ごめんなさい。お仕事で忙しいのに、折角の休日が……」

「すぐ謝るのは、おⅡの悪い癖だぞ。自分を卑下しすぎ。千鶴ちづるさんみたいな高飛車も困るけど、アンタは顔も性格も可愛いんだから。もう少し自信を持ちなさい」


 幼い頃から何千回も繰り返された遣り取り。

 玲奈に励まされる度に、おⅡの表情は曇るのだ。


「そう言われても……自信なんか持てないよ。千鶴さんは本当に綺麗だと思うし。玲奈ちゃんも凄く可愛いもん。无巫女アンラみこ様なんて――」

「ちょっとお待ちよ、おⅡさん」

「……?」

无巫女アンラみこ様と比べたらダメよ。无巫女アンラみこ様を板芝居アニメで喩えるなら、年間の覇権が確定したかみ板芝居アニメ。アタシたちなんか万策尽きたクソ板芝居アニメ。動画配信サイトの順位聞いただけで、崖から飛び降りたくなるから。絶対に覇権と比較したらダメ。あと千鶴さんとおⅡを比べたら……おⅡの不戦勝」

「ええええ?」

「あの人さあ……顔面偏差値高いんだけどさあ。お友達が金銀で買えると、本気で信じてるからさあ。滑り台要員――ていうか、抑も滑り台に上れない気がするのよ。おⅡとは違うね。おⅡからは気品を感じる」

「最近まで小袖二枚で過ごしてたんだけど」

「なんて言うかなー。佇まいよ佇まい。おⅡは髪も綺麗だし、唐衣からぎぬも似合う似合う。ホント宮廷の姫君って感じ。あたしの方は……地味な小袖着てんなー。自分でも『女中B』としか思えんわ」


 玲奈が自分の着物を見ながら自嘲する。


「小袖は関係ないよ。私の場合、名前が変だもん」

「まあ……独創的な名前だと思うけど」


 珍しく玲奈が言い淀む。

 おⅡは、自分の名前に劣等感を抱いている。

 無理もない。煌びやかにもほどがある。姉が『さき』なのに、妹が『Ⅱ』というのは相当辛い。子供の頃から自分の名前を呼ばれるのが嫌で、屋敷の外に出なくなった。本家の行事でもない限り、自室で鬱々と過ごしている。


「私も玲奈ちゃんみたいな名前が良かったな」

「こればかりはどうにもならないよ。南蛮なんばん数寄者オタクの御本家様が決めた事だから。勝手に改名するわけにもいかないしねー」


 落ち込む親友を励ますように、玲奈は明るい口調で続けた。


「でもほら、薙原家は変な名前の人多いから。墨川Ⅱは、そんなに目立たない方だと思うよ。帑亞翅碼璃万崇ドアシマリマスさんの妹なんて、田中たなか帑亞祕羅貴升ドアヒラキマスさんだし。あと他にも肥沼ひぬま根生亜ネオア細亜ジアとか朽木くちき御湯煮塩湖オユニエンコとか! そうそうこの間、宍戸ししどさんで生まれた次女が……宍戸ししど梅毒ばいどく! 有り得ええええ! 将来、友達から『ねえねえ、梅毒彼氏できた?』とか訊かれるの? できるわけねえから! 梅毒さんが不憫で……もうダメ助けてお腹痛い」


 苦しそうに腹を抱えて、涙ながらに爆笑する。


「玲奈ちゃん……私も不憫なんだよね」

「……ごめん。やっぱこれ、どうにもなんねーわ」


 盛大な誤爆に気づき、がくりと項垂れた。

 ぶつぶつと「イキリ顔ダメ絶対」と呟いているので、一応反省しているのだろう。空気が読めない処もあるが、裏表がなくて親しみやすい。少なくとも、変に気を遣われるよりマシだ。


「とにかく玲奈ちゃんは、私の理想だもん。玲奈ちゃんに比べたら、私なんて……ただの引き篭もりだし。村中の笑い者だよ」

「んー……爆笑した手前、否定はできないけどさ。笑い者というより人気者でしょ。おⅡの場合」


 急に何かを思いついたように、玲奈が再び笑みを浮かべた。


「どういう事?」

「最近、自主的に外出してるみたいだし。その効果が出たのかもねー。村の男共から恋文が送られてきたとか。いいなーいいなー。あたしも恋文ほしいなー」

「なんで知ってるの!?」

「あたしみたいな女中見習いは、偉いさんのパシリみたいなものだから。自然と噂話は耳に入るんだよね。それに本家の御屋敷でも有名だよ。蛇孕村の小宰相様なんて呼ばれてるくらいだから」


 驚くおⅡに、にやにやと笑顔で返す。


「小宰相様なんて大袈裟だよ」


 おⅡは恥ずかしそうに俯いた。

 小宰相とは、平安時代後期の女性だ。

 平家物語によると、上西門院じょうさいもんいんに仕えた女房にょうぼうで、宮廷一の美人と謳われていたという。三年も平通盛たいらのみちもりより恋文や和歌を送られて、上西門院の仲立ちにより結婚。一ノ谷の戦いで夫を亡くすと、「南無西方極楽世界……どうか別れた夫と極楽で会わせてください」と唱えて、海に身を投じた。

 夫に先立たれた妻は、仏門に身を寄せるのが世の常。平安時代の人々は、「忠臣は二君に仕えず。貞女は二夫にまみえず」と言い合い、小宰相の散り際を褒め称えたという。


「でも恋文が送られてくるのは、本当なんでしょ?」

「よく知らない人達が、急に手紙を送ってきて……ただの悪戯だよ」

「いやいや、こいつはガチですよ。滅多に顔を出さない分、ちょろっと外出しただけで、村中の男共は一目惚れ。おⅡ様の女子力は半端ねえって、さっきアンタんの女中さんが言ってた」

「調べてるじゃない! この事は内緒にしておくように、申しつけておいたのに……」

「こういう事は、いつまでも隠しておけないって。残業続きの本家女中衆に明るい話題を届けてくれてありがとう」

「もう!」


 けらけらと笑う玲奈に、ぷいと顔を背けた。


「おⅡは拗ねた顔も可愛いにゃー」

「……」


 羞恥のあまり、おⅡは返す言葉を失う。

 彼女に悪気はないのだろうが、どうしても冷やかしに聞こえる。

 おⅡの思い込みもあるが、戦国時代の女性は活発だ。好き勝手に外を出歩き、泥酔するまで酒を飲む。何度離縁しても名誉を損なう事はなく、妻から離縁を申し込んでも構わない。夫婦の財産も別々に管理し、武家に嫁いだ女性は政務を取り仕切る。

 何事にも積極的に取り組み、大勢の前で堂々と振る舞える者が、戦国時代の女性の理想像なのだ。況てや薙原家は女系一族。異性を従えるくらいの度量はなければ、一人前と認められない。

 やはり玲奈のような女性が、男性からも好かれるのだろう。


「……玲奈ちゃん、そんなにお仕事忙しいの?」


 なんとか話題を変えようと、おⅡは小声で尋ねた。


「女中の数がんなくて。掃除するだけで残業葬列デスマーチ確定」

「……」

「もう辞めたい……でも辞められないの。郁島家の長女だから。ビクンビクン」


 玲奈は頭を抱えて、ビクンビクンと小刻みに震えた。

 四年前、行儀見習いに出されて以降、玲奈は本家屋敷で暮らしている。

 郁島家は三姉妹。長女の玲奈は、郁島家が本家に差し出した人質だ。分家が本家に人質を差し出す事は、何百年も続いてきた慣習。分家の長女に生まれた以上、女中奉公を拒む事はできない。

 一方、おⅡは墨川家の次女だ。五歳年上の姉が、墨川家を代表して女中奉公に励んでいる。長女のお咲のお陰で、おⅡは実家に引き篭もり続けていられるのだ。


「ごめんなさい。折角の休日なのに――」

「また謝る……あたしの事は気にしなくていいから。実家も改装の途中で、あたしの居場所がないのよ。ああ、今夜この家に泊めてくれる?」

「いいよ」

「うし! 久しぶりに牡丹鍋が食べられる!」


 玲奈が無邪気に喜ぶ。

 この瞬間、郁島家の夕餉の献立が決定した。

 蛇孕村の猟師に頼めば、猪の肉を調達してくれるので、特に問題はないが……本当に彼女の性格が羨ましい。


「それで結局、相談とはなんぞや? 名前の話? それとも恋文の話?」


 親友は単刀直入に訊いてきた。


「うん、えっと……」


 この期に及んで、言葉を濁す自分が情けない。

 然し一年前に彼女が打ち明けてくれた時から、自分から告げようと決めていたのだ。胸の苦しみを吐き出すように、消え入りそうな声で言う。


「……私も蛇神様の使徒になったの」

「そっち?」


 急に玲奈が、頓狂な声を発した。


「そっち――って?」

「あ……いや、こっちの話。気にしないで」

「?」


 困惑するおⅡを尻目に、玲奈は「成程成程」と何度も頷いた。


「具体的にいつの話?」

「先月の中頃……」

「もう一ヶ月近く経つわけだ。饗会きょうらいに参加して衝撃を受けたと」

「うん……」


 おⅡの顔が青ざめていく。

 饗会きょうらいで見た光景を思い出すと、吐き気が込み上げてくる。事前に母より説明を受けていたが、おⅡの想像を遙かに超えていた。

 凄惨極まりない餓鬼共の宴。顔見知りの同胞はらからが、村外より買い集めた奴婢を喰い散らかしていた。洞窟内で反響する慟哭と悲鳴が、今でも耳から離れない。

 油壺家の当主が頭蓋を斬り裂き、男性の脳味噌を啜る。田中家の当主が、女性の喉に噛みつく。朽木家の当主が子供の腹を割いて、肝臓を抜き取る。

 獄卒の呵責の如き有様。

 尊敬する母も妹も饗会きょうらいに馴染んでいた。そして姉に促されて、おⅡも人の耳を食べさせられた。

 予想以上に硬い歯応え。血肉が喉に絡む感触。人倫を踏み越えたという絶望。忘れたくても忘れられない。

 然しおⅡの暗い顔を見ても、玲奈は「そっかそっか」と嬉しそうに頷いていた。

 おⅡは唖然となった。

 彼女も自分と同じ苦しみを持つ妖怪。親友の苦悩を理解している筈なのに――玲奈が何を喜んでいるのか、全く理解できない。


「ペルドンペルドン。おⅡが辛い思いをしてるのに、喜んでるように見えるよね」

「……」

「でも嬉しいんだ。おⅡが自分から打ち明けてくれたから。あたしたち、親友なんだなーって実感できたよ」

「玲奈ちゃん……」

「長い間、本家の御屋敷で女中奉公してるとさ。簡単に他人を信じられなくなるんだよ。派閥争いやら抜け駆けやらイジメやら……本家の女中衆なんて、全部で二十人もいないんだよ。それなのに『よく同輩の足を引っ張ったり、恥を掻かせたりできるなー。あたしはついていけないなー』とヘコんでたわけ。だからさ……おⅡの大切さを実感できて、凄く嬉しいんだ」


 玲奈は涼しげに語るが――

 おⅡの目から、ぽろぽろと涙が零れ落ちた。

 どれだけ自分は愚かなんだろう。

 玲奈の方が、郁島家の嫡子として苦しんでいるのに――

 おⅡより一年も早く、人喰いに目覚めたというのに――

 私は悲惨な体験をしました……と親友に打ち明けていたのだ。

 玲奈の笑顔が涙で霞んで見える。


「泣かない泣かない。おⅡが泣くかもしないから、言葉を選んだつもりなんだけど……寧ろ逆? こういう時は、思い切り泣いた方がいいのかな?」


 玲奈は軽口を叩きながら、おⅡを優しく抱きしめた。実の妹を見るような目で、おⅡを温かく見守る。

 親友の胸に縋りつき、おⅡは泣き崩れた。暫時の間、散々に泣きはらした後、えぐえぐと嗚咽を漏らす。


「あたしたち、なんで妖怪に生まれてきたんだろ? どうせ妖怪に生まれるなら、心も化物にしてくれたらいいのに」

「……」

「年寄衆とは、世代が違うからね。蛇神様を奉る儀式と言われても、あたしらも世事に疎いわけじゃないし。今更、真に受けたりしないよ」


 親友の嗚咽を聞きながら、玲奈が諦観を込めて語る。

 十六年前に本家の当主が代替わりしてから、薙原家の有様は激変した。

 人から妖怪と蔑まれながらも、必死に生きてきた使徒が、『銭』という世俗の欲望に取り憑かれたのだ。

 それまで銭という物は、蛇孕村に餌贄えにえが足りない時、外界から買い集める為の道具に過ぎなかった。それが使い切れないほど集まると、餌贄えにえの補充以外の使い道を覚え始めた。

 有徳人に借書を転売すれば、本家の屋敷が大きくなる。

 唐物屋を始めれば、煌びやかな調度や反物が集まる。

 銭の欲に取り憑かれるほどに――世俗と交わるほどに、妖怪の価値観も変わる。おⅡの母親の代は、漫画マンガ練緯ねりぬきの蒐集で物欲を満たした。さらにその娘達は、人のように育てられる。

 外界の常識に触れなければ、現実と理想の落差に苦しむ事もなかった。外界の欲望に取り憑かれなければ、後悔や恐怖を覚える事もなかった。

 無論、若い娘達が後悔した処で、薙原家を浸蝕する欲望は抑えきれない。金銭は欲望を叶えるだけではなく、持ち主の心に安寧を与えてくれる。生活に余裕が生まれれば、昔より規律が緩くなるのも当たり前。今更、蓄えた富を捨て去り、近隣の集落を襲う化物に戻れはしない。豊かな生活を捨てるなど、今の薙原家では考えられない事だ。

 どれくらい泣いていただろう。

 おⅡの背中を撫でて、涙で溢れた顔を布子で拭う。親友の世話を焼く玲奈の眼差しは、妹を気遣う姉のようだ。


「もう大丈夫?」

「……うん」


 おⅡは涙声で頷いた。

 両の瞼を腫らし、頬を赤く染めている。母親に慰められた子供のようだが、もう涙は出てこない。


「うし。じゃあ、妖怪の先輩からの助言。心して聞くように」

「……」

「辛くても我慢して。それしかない」

「……」

「あたしたちは妖怪なんだよ。人を食べないと生きていけない」

「でも……あんな酷い事できない」

「アレは蛇神崇拝の神事だけど。薙原家の結束を固める為の儀式でもある。饗会きょうらいに参加できない者は、餌贄えにえに情けを掛ける者。人を食料と思えない者に、薙原家は餌贄えにえを分けてくれない。だから馬鹿らしいと思いながらも、アンタの母上や姉上も饗会きょうらいに参加してる。あたしもそう。人殺しを楽しんでるわけじゃない」

「……」

「おⅡは死にたくないよね?」


 内気な少女は、静かに首肯した。


「あたしも死にたくない。幸せになれるかどうか分からないけど……遣りたい事は、たくさんあるからさ。自分の命を粗末にしたくないんだ」


 虚空を見つめながら、玲奈が強い口調で断言した。


「勿論、おⅡにも死んでほしくない。次の饗会きょうらいは、あたしも参加するから。二人で一緒に頑張ろう」

「ありがとう、玲奈ちゃん……」


 親友の助言を心に刻むように、おⅡは神妙な面持ちで頷いた。


「気にするねい。あたしたちはマブダチだぜ」


 その様子を見て安心したのか――玲奈は悪戯を思いついた童のような顔で、おⅡの肩に手を乗せた。


「え~、それでは今日の本題に入りたいと思います」

「……え?」

「どうすれば、奏様と結ばれるでしょう?」


「キャ――――ッ!!」


 いきなりおⅡが絶叫して立ち上がった。

 おⅡの反応を予想していたようで、玲奈は両耳を塞ぐ。


「突然泣き出したり叫び出したり……あたしより忙しい子ですなー」

「ど……どうして分かったの?」

「妖術云々も大事な話だけどさ。告白と相談は根本的に違うしねー。そして女の子の大事な相談なんて、色恋沙汰しか考えられないのだよ」

「……」


 混乱していたおⅡは、茫然自失の態で聞き入る。


「さら~に。村の男共と話した事もないアンタが好意を抱く相手なんて、本家の奏様しか考えられない――ていうか、急に自分から屋敷の外に出たり、奏様について訊いてきたりするんだもん。誰だって気づくわ」


 とうっ――とおⅡの頭に手刀を入れる。


「あう……」


 突っ込まれた側は、頭頂部に両手を乗せて押し黙る。

 全て玲奈の言う通りだが、この話題は先送りにしたかった。使徒の苦悩に区切りをつけた後、改めて相談するつもりだった。


「ほれほれ、あたしに恋バナを聞かせなさい。浮いた話の一つもなかったアンタが、奏様に惚れたキッカケみたいなもんがあるんでしょ? それを包み隠さず話すといいさ」


 動揺を隠しきれないおⅡは、両手の人差し指を絡めながら、ぽつりぽつりと呟いた。


「えっと……お正月の事なんだけど」

「ほうほう」


 玲奈は好奇心丸出しで促す。

 毎年、正月になると、本家屋敷で新年祝賀の宴が催される。

 本家当主に祝賀の挨拶をする為、おⅡも母と姉に付き添われて、本家屋敷に赴いたのだが、あっという間に迷子となった。

 本家屋敷の敷地面積は、躑躅ヶ崎館つつじがさきやかたの約四倍。一度道に迷うと、自分がどこにいるのか分からなくなる。擦れ違う女中に尋ねようにも、自分から話し掛ける勇気も持てず、焦れば焦るほど道に迷い、気づくと広い庭園に出ていた。

 広大な庭園は、とても静かで人気ひとけがない。まるで樹海に迷い込んだようで、おⅡの焦りも募るばかり。とにかく母と合流しないと怒られるという焦燥感に急かされて、アテもなく散策路を歩いていると、不意に大きな池と石橋が見えてきた。

 そこに奏がいた。

 彼は大きな庭石の近くで、池の鯉に撒き餌をしていた。


「……」


 奏の横顔を見つめて、おⅡは状況も忘れて立ち止まった。

 本家当主の甥で无巫女アンラみこの許婚。薙原家唯一の男子。その微妙な立場ゆえに、本家の女中衆より人質に近い生活を強いられていた。

 詳しい事情は、おⅡも聞かされていない。ただ母から「奏様に近づいてはなりません。話し掛けてもいけません。奏様から話し掛けられた時は、『世話役の女中にお尋ねください』とだけ答えなさい」と言い含められていた。女中の姉からも「御本家様は、分家衆が奏様に近づく事を懸念しています。くれぐれも母上に迷惑を掛けたりしないように」と念を押されている。

 その為、おⅡは年中行事で本家屋敷に訪れても、彼には近づかないようにしていた。遠くから奏の顔を見た事はあるが、一度も会話をした事がない。近くで顔を見たのも初めてだった。

 だから余計に驚いた。

 年長の者達は、奏の顔と母親の顔が瓜二つと言う。然しおⅡは、本家当主の顔を思い浮かべる。当代の本家当主――薙原沙耶と先代の无巫女アンラみこ――薙原伽耶は双子だ。甥が伯母に似るという事も有り得よう。然れど沙耶の臈長けた美貌は、おⅡの印象だと『怖い』の一言に尽きる。逆に奏の顔を近くで見ると、恐怖心や緊張感は覚えない。奇妙な親しみというか、不思議な安らぎを感じる。


 同じ顔でも性格が違うだけで、こんなに雰囲気が変わるんだ……


 新鮮な驚きを覚えながらも、奏の姿に見惚れていると、不意に背後から「――おⅡ!」と呼び掛けられた。

 咄嗟に振り返ると、姉のお咲が足早に近づいてくる。

 おⅡを捜しに来てくれたのだろう。だが、お咲の表情に安堵の色はない。寧ろ眉間に皺を寄せて、おⅡに怒気の視線を向けている。

 お咲は誤解していた。

 私や母上の目を盗んで、奏様に近づこうとしていた……と思い込んでいる。

 お咲の声で、ようやく奏もおⅡの存在に気づいた。おⅡとお咲の表情を見比べて、現状を認識したようである。

 厳しい叱責を恐れて、おⅡが身を竦めた刹那――


いたッ!」


 奏が忽然と悲鳴を上げた。

 お咲が目を丸くした。

 おⅡも反射的に振り返る。

 奏が右手を押さえながら、身体を丸めて呻いていた。

 お咲が慌てて、おⅡの脇を通り過ぎ、石橋を渡って奏に駆け寄る。


「如何なされましたか!?」

「右手をぶつけちゃって……」


 奏が右手を挙げると、手の甲が紫色に変色していた。打撲か骨折か。怪我の具合は分からないが、无巫女アンラみこの許婚が負傷するなど赦されない事だ。


「すぐに世話役の女中を呼びます」


 お咲は慌てふためき、再び石橋を渡る。

 途中で「貴女も来なさい」と手を掴まれて、おⅡも主殿まで引き戻された。

 その後の事は、おⅡにも教えられていない。

 ただ「斯様な折は、近くの女中を呼ぶように」と軽く注意された。

 偶然、怪我をした奏と出会い、何をしてよいのか分からず動転していた……というふうに解釈してくれたようだ。

 勿論、お咲の勘違いである。

 あの時、奏は撒き餌をしていた。ぱらぱらと右手で池の鯉に餌を与えていたのだ。右手を負傷したとすれば、おⅡの存在に気づいた後だ。

 間違いない。

 彼はおⅡを助ける為に、わざと右手を負傷したのだ。

 一瞬で二人の認識の違いを把握し、躊躇いもなく自分の右手を庭石に叩きつけた。お咲の位置からでは、庭石が邪魔で奏の行動が見えない。それも見越していたのだろう。

 一連の手慣れた所作に、おⅡは想像を膨らませる。

 これまでにも、奏は似たような事を繰り返してきたのではないか。失態を犯した女中見習いやおⅡの如く慣例に疎い者を庇い、己の身体や名誉を傷つけてきたのではないか。

 おⅡには、彼の行動が理解できない。

 何の見返りもない筈なのに、分家の娘を庇う。

 おⅡは何度も彼の事を思い出した。やがて屋敷に籠もるのも辛くなり、村の中を散策してみた。

 然しおⅡの行動は、全くの逆効果だった。都合良く奏に会える筈もなく、代わりに村の男達から恋文が何十枚も届いた。

 見ず知らずの男達から恋文を送られても、喜びの感情など湧きようもない。寧ろ「奏様から手紙が送られてこないかな……」と馬鹿な事を考えてしまう。

 流石におⅡでも、自分の気持ちに気がついた。

 本家の若君に懸想しているのだと……


「それで奏様の事を意識し始めて、いつも奏様の事を考えるようになり、奏様の顔を思い浮かべると、胸がドキドキするようになったと」

「はい……そうです」


 洗いざらい喋らされたおⅡは、憔悴した様子で俯いた。

 一方、玲奈の興奮は最高潮に達し、薄い胸の前で両手を握る。


「完っ璧! 紛れもない初恋よ! ついにおⅡにも春が来たのね! あたしは親友として凄く嬉しい! 女中さ――ん! 今夜は牡丹鍋に赤飯も追加してくださ――い!」

「お願いだから声を抑えて。噂が流れるだけで、墨川家がお取り潰しになる……」


 おⅡは周囲を見渡し、恐る恐る玲奈を宥めた。


「大丈夫。アンタが絶叫した時点で、屋敷の女中さんは台所に待機してるよ。触らぬ神に祟りなしってね。どうしても気になるなら、後で口止めしておけば? それこそ墨川家の命運に関わる事だから、他言しないと思うけど」

「あわわわ……」

「――うし! 大事な親友の頼みだ。無碍に断るわけにもいかないよね。あたしがアンタと奏様の仲を取り持ってあげよう」


 玲奈は薄い胸を叩き、自信満々に宣言した。


「待って玲奈ちゃん。私を置き去りにしないで。そんなお願いしてないし……」

「何を悠長な事を言ってるのかね、この子は……奏様の事が好きなんでしょう! それなら行動しないと! 片想いに浸った処で、相手は振り向いてくれないぞ!」

「奏様は无巫女アンラみこ様の許婚だもん。私が入り込む余地なんてないよ」

「それがどうした! 織田おだ三位中将さんみのちゅうじょう様は、武田家の松姫まつひめ様と婚約を結びながら、正室も子供もいたのよ! それでも松姫様と恋文を交わす! それが男の甲斐性ってもんさ!」

「その例え話、何かおかしい……」


 ただの浮気である。

 しかも甲斐国と甲斐性を掛けられて、甲斐の人々に誤爆していた。


「とにかく! 奏様の側室になれなくても、子供さえできてしまえば、こっちのモノよ! 案ずるより産むが易し! 既成事実に勝る事実はないわ!」

「側室とか子供なんて……そんなの考えられないよ。それに母上や姉上に、どれだけ迷惑を掛ける事になるか……」

「この馬鹿弟子がああああああああッ!!」

「ひっ――」


 不意打ちの怒声に、おⅡは声を裏返して驚く。


「今は後白河法皇の時代じゃないのよ! 小宰相様みたいに、都合良く意中の相手から恋文が送られる事なんてないの!」


 師弟の契りを結んだ覚えはないが、玲奈が早口でまくし立てる。


竜造寺りゅうぞうじ家の慶誾尼けいぎんに様を見習いなさい! 妻に先立たれた重臣に『気立てが良くて物分かりの良い女子おなごがいるのですが、後添のちぞえに如何いかが?』と勧めて、『一度会うだけなら』と承諾した途端、花嫁装束の慶誾尼様が行列従えて現れるのよ! もう家臣は断れない! 四十八歳の未亡人が、そこまで身体を張るの! 世間体を気にしてたら、草食系男子を捕食する事はできないわ!」

「そ……そうなのかな?」


 玲奈の勢いに気圧されて、頭が混乱してきた。

 冷静に考えると、鍋島清房が慶誾尼に嵌められただけである。


「それにおⅡは運が良い」

「……え?」


 急に声を潜めて、おⅡの耳元に顔を寄せる。


「御本家様が、奏様を蛇孕村の外に出そうとしてる」

「ええええッ!?」


 おⅡは思わず頓狂な声を発した。

 静かに――と諫めてから、玲奈は小声で続ける。


「ホントに極秘事項なんだから。これは絶対、誰にも話したらダメよ」


 おⅡが神妙な面持ちで頷くと、玲奈も真面目な顔で語る。


「どうも最近、奏様の処遇を巡って、御本家様と年寄衆が揉めてるみたい。奏様は无巫女アンラみこ様の許婚なんだから、もう少し待遇を改善しろとか、御本家様に諫言したみたいなの。勿論、奏様の為じゃないわよ。要するに无巫女アンラみこ様が還俗したら、本家の家督を譲る気があるのか、遠回しに言質を取ろうとしたわけ。それで御本家様が癇癪を起こして……ババア共の首を刎ねろとか、蛇孕村から追放しろとか大騒ぎ。結局、符条様に止められたから、軽い処分で済むと思うけど……今回の件で、御本家様も腹に据えかねたみたい。奏様を蛇孕村の外に出そうとしてるのよ。でもそれは拙い。奏様を預けられる所なんて、篠塚家が持つ大店しかない。篠塚家の大店は、関東と畿内にいくつもあるけど……江戸と小田原は、絶対に有り得ない。京も奈良も大坂も論外。残りは千鶴さんの住む八王子だけ。でも万が一、奏様と千鶴さんの間に子供ができたら、篠塚家に権力も財力も独占される。同じ中老衆に属しているけど、篠塚家の風下に立ちたくない。あたしやアンタの母上が止めようとしてるけど……おそらく無理だと思う」

「どうして奏様は、江戸と小田原に行けないの? 京都も奈良も大坂も論外なんて……」

「それは……超極秘事項よ。おⅡにも言えないわ」


 こほんと咳払いをした後、玲奈は話を戻す。


「そういうわけで、中老衆を集めた会合が行われまして。どこかの娘を奏様の側室にするように、御本家様に進言するんだってさ」

「……そんな話、母上から一度も聞いてない」

「まだ本決まりじゃないし。誰を奏様の側室に推薦するかで、色々と揉めてるみたいだから――んで、案ずるより産むが易しに戻るわけよ。アンタが他の娘より早く既成事実を作れば、薙原家の混乱も収束。墨川家も安泰って寸法さ」


 玲奈は満面に笑みを浮かべる。

 だが、それでもおⅡの心は定まらない。


「そんなの無理だよ。最近、ようやく外に出られるようになったんだよ。それが急に奏様の側室とか……考えられない。多分初恋とか、そういうんじゃないよ。ただ奏様に憧れてるだけで。遠くから見てるだけで幸せだから……」


 俯き加減でぼそぼそと答えると、


「奏様が他の女と寝てもいいの?」

「――え?」


 おⅡの顔が強張った。

 一気に血の気が引いて、青褪あおざめた顔になる。


「ほらね、今凄い『女』の顔してたよ。独占欲出まくり」


 動揺するおⅡの顔を見ながら、玲奈は穏やかに言う。

 咄嗟に両手で顔を隠すが、自分の表情は分からない。然し彼女の言う通り、酷く醜い顔をしていたのだろう。本当に自分が嫌になる。


「他の女が、奏様の側室になるってそういう事なの。他の女が奏様と子作りするの。その女が懐妊したら、祝福してこうべを垂れるの。今のアンタにそれができる?」


 玲奈の声は優しい。

 だが、眼差しが普段と違う。


「奏様はマジで倍率高いよ。状況が状況だから、他にも抜け駆けしようとする娘は出てくる。だから村の外に出そうとしてるんだけど……アンタはそれでいいの? 遠くから見ている事もできなくなる。本当にそれでいいの?」

「……イヤ」


 玲奈は顔を隠したまま、小さな声で答えた。


「じゃあ行動するしかないでしょ。手始めに恋文作戦からいきますか」

「恋文作戦……?」


 作戦名を聞いただけで悪い予感がする。


「そ。小宰相様で思いついたんだけど、アンタが奏様に恋文を書くの。で――あたしが夜更けに奏様の庵に忍び込んで、枕元に恋文を置いてくる! 完璧!」

「……本気?」

「本気も本気。ほれほれ、硯箱すずりばこと紙を持ってきなさい。あたしが幽玄オサレな恋文の書き方を伝授して進ぜよう」


 困惑するおⅡを尻目に、強引に話を進めようとする。


「玲奈ちゃん、恋文書いた事あるの?」

「ない! 一度もないけど『墨川Ⅱ。十四歳。生娘。タダ』って書いとけば、喜んで来てくれるんじゃね?」

「いやああああああああッ!! 奏様、絶対に来ないイイイイッ!! 私が変態だと思われるだけええええッ!!」


 それで本当に来たら、百年の恋も冷めるだろう。


「ええと、確か筆も紙も袋棚ふくろだなの中に入ってたよね」

「勝手に開けちゃダメ――――ッ!!」

「うっわ。何コレッ!? 恋する乙女の妄想日記!? 『三月三日晴れ。今日も奏様の夢を見ました。舞い散る桜の下で、優しく私の手を取り、そっと耳元に顔を近づけ――』」

「朗読しちゃダメ――――ッ!!」


 再びおⅡの絶叫が、墨川家の屋敷に響いた。




 慶長四年閏三月上旬……西暦一五九八年四月下旬


 練緯……生糸と練糸ねりいとで織った布地


 練糸……精練した糸


 グラシィアス……ポルトガル語で「あざーす」


 成通……藤原成通ふじわらのなりみち。平安時代後期の公卿。蹴聖しゅうせいと称えられた蹴鞠の名人。


 唐衣……大陸製の生糸で仕立てられた着物


 上西門院……鳥羽上皇の第二皇女


 女房……侍女


 ペルドンペルドン……ポルトガル語で「めんごめんご(死語)」


 躑躅ヶ崎館……甲斐守護識――武田氏の居館


 織田三位中将……織田おだ信忠のぶただ。織田信長の嫡男。


 松姫……武田信玄の六女


 慶誾尼……竜造寺りゅうぞうじ隆信たかのぶの実母。鍋島清房なべしまきよふさの後妻


 袋棚……床の間の脇に設けられ、引き違いの襖をつけた戸棚

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