第2話

 夢を見ていた。いや、見ている。確かにここは夢であると認識できる場所に俺はいる。目の前にはマンションが一軒建っていて、俺はそこの一階の大家さんの部屋に向かおうとしていた。

 マンションは七階建て。一フロアに部屋は一つしかない。大家さんはマンションの横にある小さな小屋のようなところにいるようだ。壁は白く、ドアは鮮やかな水色だった。今は夜。昼間はかわいらしいマンションなのだろうが、廊下についている蛍光灯のせいでもあるのか少し不気味な雰囲気が漂っていた。

 大家さんの部屋の前についてチャイムを鳴らす。中から足音が近づいてきてドアが開いた。そこにはいかにも大家さんという感じのおじいさんがたっていた。

「こんばんは」

「こんばんは。今日から住む秋山君だね?」

「はい」

 おじいさんは一回部屋の中に戻り、一つカギを持って出てきた。

「今日住む部屋は102号室だね。この隣の部屋だよ」

「はい、わかりました。ありがとうございます」

「じゃあ、いい夜を」

 そういっておじいさんは部屋の中に戻っていった。

 ここのマンションはルールがある。


①一日ごとに部屋は移動しなければならない。

②夜だけしか部屋に入れない。合図があったら朝の合図。部屋の外に出ること。

③部屋の中にあるものは持って出てきてはならない。


 僕がなぜこのルールを知っていたのかはわからないが、絶対に破ってはいけないルールである。

 102号室のカギを使って中に入る。中には一部屋しかなく、部屋の中には冷蔵庫とベッドが置かれているだけだった。冷蔵庫の中には二本の水。寝るだけなので水は飲まなくていいだろう。

 早速俺はベッドに横になり、目をつぶる。だんだんと眠気が襲ってきて、眠りに落ちた。


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