7
整った顔立ちの友人の顏を見ると、賢人は探りを入れるように
聞いてみる。
秀人はわざと目をそらすと…
「ところで今年は、あそこへ行くぞ」
おごそかに宣言する。
「あそこって、どこだ?」
いきなりはぐらかす友人に、ケラケラ笑いながら、賢人は言う。
「とっておきの場所ってトコだろ?」
「なんだよ、それ!ムードのいい所か?」
ニヤニヤしながら聞くと、傍らにいた仲間も、
「まさか、変なトコじゃあないだろうなぁ」
大げさに目をクルンを回すと、笑ってみせる。
「そうじゃなくて、あそこさ!
この前、ネットで見ただろ?」
急に真顔になると、秀人は携帯を取り出した。
先日、たまたまネットを見ていた時に、何気なく目に入った。
これ、車で行くと、どのくらい時間がかかるのかな…
でも、行けないことはないぞ、と仲間たちとほんの数週間前に
話していたことがあった。
「えっ?」
男たちは、急に笑いを止めて
「それ、本気か?」
幾分真剣な顔になる。
「だけど、あれって…ヤバいんだろ?」
「出るって、言うぜ」
「大丈夫なのかなぁ」
急に冷めた顔になる。
「なんだよ」
秀人はケンタたちの顏を見比べる。
「なんだ、やっぱり怖くなったのか?」
ニヤニヤしながら、からかうように言った。
ケントはポケットに手を突っ込んで、スマホを取り出すと、
慣れた手付きで、何やら検索を始める。
それを興味津々で、黙って男たちがのぞき込む。
「おまえの言ってるのって、これだろ?」
つい、と差し出す液晶画面には、煽情的な煽り文句で
「ついに、怪人現る?」
大きな見出しと共に、不鮮明な画像が表示された。
秀人はそれをしばし眺めると、
「なぁ、そこへ…行ってみないか?」
仲間をたきつけるように、キッパリと言う。
「えっ」
急にそう言われて、戸惑う。
「なぁ、行くって、サークルでか?」
目をキョロキョロさせて、賢人たちは何も悪いことなどしていないけれど…
何だか落ち着かない気分になる。
「そうだよ」
「何しに行くんだよ」
呪われたら、どうするんだ?
縁起でもない…と、賢人はちょっと、ムッとした顔になった。
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