「実はね」

 秀人先輩は、さわやかな笑顔を見せる。

健康的な肌に、やけに白い歯がまぶしい。

そして、にこやかな微笑み。

思わずつられて、珠紀も笑い返す。


「せっかく、新入生が入るんだからさぁ、新入生歓迎コンパを

 しようと思うんだ」

はつらつとした笑顔で、先輩が言う。

「えっ、そうなんですか?」

まだ入会する、と決めてはいないというのに、すでに玲は入る気

満々のようだ.

チラリと玲を見ると…彼女はすでに、心ここにあらずの状態だ。

(いけない!すでに目が、もうハートマークだ!)

食いつかんばかりに、じぃっと見つめる玲に、先輩は微笑み返すと、

「今年はね、ちょっと趣向を変えてみようと思うんだ」

いきなり楽しそうに言うので、

「えっ、なんですか?」

つい、聞き返してしまった。


「おっ、乗ってきたねぇ」

 玲は勘違いをしたのか、ニヤニヤした顔で、こちらを見る。

 いやいや、違うってぇ~

 そんなんじゃあ、ないってばぁ…

珠紀は軽く玲をにらむと、玲はヘラヘラと笑う。

「なに?なんですかぁ?」

さらに先輩の方に、身体を近づけた。

 変わった趣向、という言葉に、どうやら興味をそそられたようだ。

(ホント、玲って、怖いもの知らずなんだからぁ)

呆れる珠紀だ。

それを同意と勘違いしたのか、先輩は気をよくして

「うん」とうなづくと、

「それがね、最近話題のスポットがあるんだよ」

ちょっともったいぶった口調で、珠紀たちに意味あり気に笑う。


「なになに?

 もしかして、例の場所?」

 早速先輩たちも、こちらの会話に、首を突っ込んでくる。

「えっ、秀人、あそこに行くつもり?」

「あそこ…やばいって、噂だよ!」

「えっ、ホント?」

珠紀と玲は、首をすくめて、顏を見合わせた。

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