第163話 医療用ナノマシン
「な、ナノマシン? いきなり話が飛躍したな?」
「レイジくんみたいに、元気が取り柄の子には、なじみがないかもね。今は医療魔法で、どんな病気も治っちゃう時代だから……」
「だが、技術の進歩は常に存在している。とりわけ、医療魔法はおおざっぱだからな。能力者のレベルにムラがあるし、人数も有限で、万人を救えるわけではない」
当たり前の話だな。
生まれつきの才能に由来する魔法能力だけに医療を頼っていては、いつか魔法能力者が足りなくなった時に、医療制度が崩壊してしまう。
だから、医療魔法があっても、医者はいるし、看護師もいる。
薬や、ワクチンなどの研究も日進月歩で進められている。
その一例として、医療用ナノマシンがある、という話なのだろう。
ツバメ先輩が説明を続ける。
「細胞のレベルで作用して、全身の活性化をうながす医療用ナノマシンは、当時最先端のテクノロジーで、ヒサヒトの虚弱体質にとっても有効な手段のひとつだった」
「まさに魔法のような話ですね」
「そうでもないさ。実際にナノマシンが体質を変えるまでには、長い年月がかかる……そういう話で、そういう触れ込みだったんだが……」
ツバメ先輩が口ごもった。
俺にはその後に続く言葉が、予想できるような気がした。
「あいつは、医療用ナノマシンに適合した。正しくは、ナノマシンを自分に適合“させた”」
正しく、人外の理に違いなく。
ツバメ先輩は、すこしだけ、おそれるように、言う。
「天道ヒサヒトは、【
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