VS親友【ライバル】

第151話 はじまり

 準決勝の朝、グラウンドは静かな熱気に包まれていた。

 戦いを見守る観衆の顔にも、今はどこか緊張感がある。


 クラスメイトの輪に交じる陽花がいつになく厳しい表情をしている。


「つ、ついにこの時が来ましたね。青虎くんVSレイジくんです」


「バッカねー、なんであんたが緊張してんのよ?」


「むー、どうしてお姉ちゃんがいるの? 他校の生徒なのに……」


「レイジくんを応援するために決まってんでしょーが。あっはっは!」


「んもー、それならわたしは青虎くんを応援するからね!」


 せーの、と、見た目変わらない姉妹陽花と月花が、声をそろえて言う。


「「がんばれ、青虎レイジくーん!」」


 ありがたい上に、俺たちには貴重な声援だ。


 レイジがおもしろそうに笑って手を振り返している。


「うるわしの声援だねえ。やる気が出るさ。そうだろ? 青虎?」


「そうだな。今日ばかりは、俺も逃げ出すわけにはいかない」


 審判役の教師が進み出た。

 向かい合う俺たちの間に立って、神妙な顔の教師が言う。


「両者、合意と見てよろしいですね?」


 当然のことだ。俺たちは、自らが持ちうる、魔法能力の武器を呼び出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る