第132話 ひいおばあさん、あらわる

「あらまあ、おかえり、レイジちゃん」


 古びた平屋から顔を見せてくれたのは、年老いたおばあさんだった。

 「ただいまー、ひいばあちゃん」とレイジが気さくにあいさつをする。


「紹介しよう、こちら、俺のひいおばあちゃんだ。今年で97歳になる。


 97歳か。素直にすごいと思う。長生きの秘訣をうかがいたいくらいだ。


「レイジちゃん、そちらが、電話で話を聞いたお友達?」


「そうそう、お友達の夜神青虎やがみあおとらだ。話をしてやってほしいんだ」


「ふんふん、なるほどねえ……」


 おばあさんは、俺を見てなにやら感慨深げにうなずいた。


「おじいさんの若い頃にそっくりだわ。凛々しくて、すてきねえ」


「??? ありがとうございます」


「そういう、融通ゆうずうが利かなさそうなところも、おじいさんにそっくりだわ」


 連れ合いを思い出しているのか、おばあさんがニコニコしてくれた。

 「ちなみにひいじいさんは若い頃に死んだ」とレイジが教えてくれる。


「私はキナコと言います。キナコおばあさんと呼んでくださいな」


「はい、今日はよろしくおねがいします」


「さっそくだけど、青虎さんは、どんなふうにお困りなの?」


 それはむずかしい質問だな、と俺は頭を悩ませた。


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