病理の扉とド田舎

第131話 わが魂のド田舎

 列車に揺られ、揺られ続けて、やってきたのはさびれた田舎。


 どうして俺がこんな場所に来ているのかというと……


「ようこそ、わが魂のふるさと、大山おおやま県へ」


 レイジに誘われたからだ。

 先日の一件で「おまえのメンタルは弱すぎる」と指摘された俺。

 メンタル修行のために、田舎の空気を吸わなければならないらしい。意味がわからん。


「ところでレイジ、ここはどこだ?」


「大山県だ。将棋の名人や世界的なアーティストを輩出はいしゅつしている」


「それはすごいな」


「またの名を大都会大山という」


「都会なのか?」


「田舎に決まってんだろ。山と田んぼしかねーよ。言わせんなよ恥ずかしい……」


 やはり、逆立ちしても、田舎は田舎なのか。なるほどな。

 俺はレイジに連れられて、レイジの実家に向かうことになった。


 駅前だというのに回転率の良くないバスに乗って、ゆらりとバスの旅だ。

 田舎だけあって、季節がら、緑が綺麗な場所だな。

 本当に周りに山と田んぼしか見えなくなってきたころに……


「ようこそ、わが魂のふるさと、っていうか俺の実家へ!」


 レイジの実家に到着した。

 重ね重ね、なぜ俺はこの場所に来たんだろうか?

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