第127話 3秒だ
校門を駆け抜けて、グラウンドに駆けこんだ時、大勢が俺を見た。
とりわけ、観覧していた学園長が失望をあらわにして言う。
「遅かったな、
どんな理由があろうとも、試合時間に遅れたのは、事実だ。
そうさ。失格と敗北の宣告を聞くために、俺は走って来たんだ。
俺の対戦相手の上級生がわずかにうろたえていたが、それだけだ。
「大遅刻だ。ちょうど、キミ以外の試合は、とっくの昔に終わってしまったよ
努力のかいあって、ギリギリ間に合った、というわけではないらしい。
奇跡はない。当たり前の話だな。
「私はキミに失望したよ。逃げずにこの場にあらわれた、ということは、少しはやる気があるのだろうが……」
学園長がぐるりと観衆を見まわして、言う。
「もう遅い。この場の誰も、キミの勝利も健闘も、祈っていないと知りたまえ」
「だろうと、思います」
心臓が跳ねる。走り続けで、動悸が止まらない。日頃の運動不足だな、まったく……
「ペナルティだ。キミに与えられる試合時間は3秒とする」
3秒。短すぎるとか、不条理だとか以前の負け戦だ。
首の皮一枚、つながったという話でさえないらしい。
「3秒、それで試合に決着がつかなければ、
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