第119話 風紀委員長からひとこと

「見事に首を落とされてしまったな」


 保健室、医療魔法で首をくっつけてもらったツバメ先輩だ。

 斬り落とした側の俺は気まずい気持ちだったが、当事者のツバメ先輩は、特に気にしたようすもなく「負けたよ、さっぱりと負けた」と笑ってくれた。


「だが気をつけろよ、青虎」


「? 気をつける、とは?」


「おまえは目立ちすぎる。おまえは、自分が傷つくことを怖れはしないだろうが、おまえに親しい者が傷つき、傷つけられることは大いにありえる」


「それは……」


「学園の派閥だよ。集団の敵意というものは、この上なく陰湿だ。おまえはそういう、くだらない世界の、つまらない駆け引きにうとそうだからな、忠告しておく」


 集団の敵意……あまり考えたくないが、十分にありえる可能性だ。

 俺は先行きの不安をいだきながら、ツバメ先輩にうなずき返す。


「ご忠告、痛み入ります」


 俺が頭を下げると、ツバメ先輩は「どうして勝者が頭をさげるんだ……」と呆れていた。


「いいさ、ソレがおまえの強さで、おまえの仲間たちも、そんなおまえが好きで友人をやっているんだろう」


「そうでしょうか?」


「自覚がないのは、幸せ者のあかしだな」


 困ったときはいつでも相談に来いと、ツバメ先輩が笑ってくれた。

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