第103話 トーナメント対策本部

「青虎くんの二回戦の対戦相手は、風紀委員長だね!」


 放課後、将棋同好会の集いで、アスカ先輩がホワイトボードを叩いた。

 ホワイトボードには『トーナメント対策本部!』とでかでか達筆で書かれている。

 アスカ先輩は伊達メガネをかけていた。なぜだ?

 レイジは「メガネすがたもお美しゅうございます~」と心酔している。

 俺が問いを投げると、アスカ先輩は「よくぞ聞いてくれたね」と答える。


「今の将棋同好会は、トーナメント対策本部室。まずは形から入るのだよ」


「はあ、それで伊達メガネですか?」


「光るのよ、このメガネ。ふふふ……」


 なんだこの、メガネをかけたら賢いみたいな、頭の悪そうな発想は……

 俺があきれるとなりで、陽花が「わたし、応援します!」とはりきっていた。


「話を戻すね。青虎くんの二回戦の相手、風紀委員長についてなんだけど……」


「風紀委員長……」


世渡よわたりツバメ。ズバリ、彼はレベル8。学園で最強クラスの能力者だよ」


 レイジが、ひゅう! と口笛を吹いた。

 レベル8というと、月花の魅了魔法と同レベルか。ただ、月花の能力は戦闘に特化していないから、あまり比較にはならないかもしれないな。


「ツバメくんの武器は鎖鎌くさりがま鎖分銅くさりぶんどうが強力な暗器だね。だけど、安心、大丈夫!」


 アスカ先輩が笑顔のVサインをしてくれた。


「私はツバメくんの弱点を、知っているからね!」

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