第102話 いい勝負をしようぜ

「ふーん、俺らが会長様と当たるのは、決勝戦か」


 昼休み、教室で、レイジがトーナメント表を確認していた。


「俺がAブロック、会長様は真逆のDブロック。因果だねえ……レベル9、学園最強の能力者と最高の舞台で戦えるとは、がぜん、楽しみになってくるぜ」


「……もう決勝戦に出場したつもりか? 足元をすくわれるぞ」


「はははっ、先の楽しみはある方がいいさ!」


 レイジは懲りもせずに、左うちわの態度で笑った。


 その自信がどこから来るのか、俺にはわからないが、こいつらしいな。


 俺が苦く笑っていると、レイジはBブロックを指さして、言う。


「そういうおまえはBブロックだろ? おまえと当たるのは準決勝だ」


「お互いが勝ち進めれば、な」


「……勝ち進めよ。俺は、つまらないやつと、つまらない勝負をしたくない」


 洒落っけのない言い方で、レイジが俺をにらむように見た。


 こいつの、勝負事にかける心意気は俺も尊敬するが……


「まずは目の前の勝負に集中することだ。なんども言うが、足元をすくわれる」


「ははっ、そうだな。ご忠告、痛み入るさ」


 いい勝負をしようぜ。と、レイジが笑ったところで昼休みが終わった。

 そう願いたい。俺も、勝ち進もう。

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