第72話 ところでレイジくんは?
「あの、ところでレイジくんは? 青虎くん、誘わなかったんですか?」
「あいつは補講だよ。数学と英語が赤点だったらしい」
ある意味、模範的だ。あいつらしいと言えば、あいつらしいが……
学生の本分は学びだからな。
レイジには悪いが、今日だけは大人しく欠席してもらうとしよう。
陽花も俺の説明で納得してくれたようだ。すまないな、レイジ。
俺たちは稲荷先輩に連れられて、ゲームセンターにやってきた。
俺が想像するゲームセンターというのは、多少小汚くて、アングラで、独特な雰囲気を持った人たちが集う場所、という偏見にまみれたものだった。
――のだが、実際には施設の一角を大きく使った、華やかな空間だった。
おどろく俺に、稲荷先輩は「ソレ、いつの時代の話ッスか?」と呆れていた。
稲荷先輩はさっそくクレーンゲームのコーナーにアスカ先輩を案内して、あの景品がほしいとか、この景品がほしいとか、楽しくおしゃべりをしている。
困ってしまったのは俺と陽花だ。
俺はあまりゲームセンターに来たことがない。
「陽花は、クレーンゲームが得意なのか?」
「いえ、わたし、ゲーセンにはあまり来たことが無くて……」
仲間だな。気まずい苦笑いが重なり、お互いに親近感がわくようだ。
俺はあたりを見まわして、なんとなくの提案をする。
「レースゲームでもするか?」
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