第70話 事件の真相

「実はわたし、双子のお姉ちゃんがいまして」


 翌日、将棋同好会の集いで、陽花はそう教えてくれた。


 陽花の双子の姉。

 名前を鶴山月花つるやまつきかという。


 聞くに、月花は魔法学園の生徒ではないらしい。

 月花自身も能力者ではあるが、能力者の競争には興味がないので、ふつうの進学校に通っているらしい。


「だから、学園の制服を持っていなくて当たり前ですよね。わたしの制服を借りるとしても、お姉ちゃんにはサイズが合わないので……」


「サイズ?」


「青虎くん! そこは聞いたらダメだよ! ダメ!」アスカ先輩に怒られてしまった。


 軽いせきばらいをはさんで、陽花が話を進める。


「わたしが家で青虎くんやレイジくんの話をしたら、お姉ちゃんがすごく興味を持っていたんです。だから、青虎くんにちょっかいを出しに行ったんだと思います」


「なるほどな」


「えーと、お姉ちゃん、どうでしたか? な、なにか、失礼をしませんでしたか?」


 妹に変装した時点で失礼と言えば失礼だが、その点は見抜けなかった俺にも非がある。

 お互い様だな。俺は月花の言動を思い返して、フッと息をつく。


「ああ、キミに似て、きれいな人だったよ」


 『たわけ!』とレイジに頭を引っぱたかれた、とても痛い。なぜだ?

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