第67話 犯人はキミだ!
「稲荷くん、あなたに、大切なお話があります」
「アスカさん! よかった! やはりオレの春は本物だったッス!」」
待ち人の登場に、稲荷先輩がおおよろこびした。
神妙な表情であらわれたアスカ先輩は祈るように胸の前で手を握っている
「稲荷くんはいつも、勉強をがんばっているよね。私、知っています」
「ん? そうッスね、オレはレベル5の中堅能力者だけど、まあ上には上がいるから、卒業後に困らないように、成績優先ッス。ぶっちゃけ、進学希望ッスね」
「そうだね。ときどき、ノートを見せてくれたり、私が教科書を忘れた時には見せてくれたり、稲荷くんの、そういうやさしいところ、本当に素敵だと思うよ」
「照れるッス~、でもおとなりさんが困ってたら、助けるのが当然ッスよ~」
稲荷先輩、ふつうに常識のある良い人だな、と俺は感心して思った。
上級生として、尊敬できる人なのかもしれない。
「でも、それはそれとして! 私は悲しく思います!」
「な、なにがッスか? オレ、なんかしたッスか?」
「とぼけるの~? キミが変身能力者だってことは、公然の事実だよ! 昨日の朝、陽花ちゃんに変身して、青虎くんを狙ったのは誰か! 自分の胸に聞いてみることだね!」
アスカ先輩が、ビシッと人差し指をつきつけた。
困惑している稲荷先輩に、心底謝りたくなったのは、どうしてだろうか。
アスカ先輩は自信に満ちた表情で、ドヤっ! と、告げる。
「稲荷くん、犯人は、キミだよ!」
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