第64話 刺客?

「陽花ちゃん、風邪でお休みだってさ。合宿疲れだな」


 昼休み、俺は教室でレイジと話していた。

 朝の出来事を説明したところ、レイジからは上記のセリフが返ってきた。


「青虎、おまえ、陽花ちゃんとグループチャットも繋がってねえのか……」


「SNSはしないんだ。めんどうくさくてな」


「かーっ、俺も言ってみたいねえ! その化石みたいなセリフ!」


「照れる」


「ほめてねえよ、時代に置き去りにされてんだよ。察しろよ……」


 俺が化石か否かはさておくとして、気になるのは朝の“誰か”だ。

 彼女が、陽花ではないのなら、陽花に似た他の誰かということになる。


「どう思う? 俺は誰の心当たりもないんだが……」


「うーむ、それってさあ、おまえを狙った刺客じゃねえのか?」


「刺客?」


「上級生の派閥から、変身能力者が送り込まれてきた、とか? 言って悪いけど、おまえは目立ちすぎなんだよ……初日もそうだし、会長様にも勝ったしさ」


 あまり好ましくない可能性だが、一番ありえそうな可能性でもある。

 親しい友人のすがたで油断を誘って、恥をかかせようという魂胆なのだろう。


 考え込む俺に、レイジが忠告してくれる。


「気をつけろよ。誰が敵で、誰が味方か、頭で考えなきゃわからねえぞ」

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