変身能力の刺客?

第61話 朝、登校途中に

 合宿を終えた俺は、中間テストに向けて勉強をしていた。


 いくら能力者とは言っても、学生の本分は学びなのだから、当たり前の話だ。

 平凡な学力しか持たない俺は、合宿での遅れを取り戻さなくてはな……


 朝、俺は、あくびをしながら登校している。

 夜更かしをしてしまったから、眠いのだ。

 学生寮から学校までは、徒歩でほんの少しの距離だ。


 ほんの少しの距離で、交通事故を起こしては、お話にもならない。

 気をつけなくてはな……と、俺は眠さをいましめて前を向く。


「青虎くーん」


 その時、後ろから、聞いたような声がした。


 振り向くと、陽花がそこにいた。

 彼女も合宿帰りでつかれているだろうに、朝から元気いっぱいだ。


 ただ……なぜか、俺を追って来る陽花は制服ではなく、私服姿だった。

 ふだんの野暮ったい丸眼鏡とは違い、流行りを取り入れたようなファッションだ。


 俺はあの丸眼鏡がけっこう好きなんだが、今日の彼女はコンタクトをしている。

 朝から本気モードなのだろうか? 中間テストはまだ先なのだが……


「おはようございます! 今日も良い天気ですね♪」


「ん? ああ、そうだな。いい天気だ。天気予報はよく当たる」


 益体やくたいもない話をして、俺は歩む。

 陽花は俺のとなりに並ぼうとする。


 そして……なぜか彼女は、俺の手を取ろうとした。

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