学園長からの呼び出し

第11話 翌日

「よお、おはよう、シリアルキラー! 入学早々、伝説をつくったな!」


 朝、俺は教室でクラスメイトに声をかけられた。


 調子よく語る少年は、机に座る俺の前に立ち、たいそうご機嫌だ。


「口やかましい女を黙らせて? 絡んできた上級生を皆殺しにして? それで?」


「…………」


「守った女の子にはフラれたか! やるねえ、今日こんにちめずらしい不良神話だ!」


 うっとうしいやつだな。


 別に俺はフラれていない。あの子には嫌われただけだ。


 その旨を伝えても相手が喜ぶだけかな。無視が最善の一手だ。


「無視すんなよ、ひとりでしゃべってたら悲しくなるだろ……」


「だろうと思うよ。なにか用か?」


「俺、宮尾レイジ! 将棋同好会の仲間を集めてるんだ、おまえもどうだ?」


「将棋? ボードゲームか? どうして俺が? シリアルキラーだぞ」


「シリアルキラーの自覚はあるんだな……」


 始業の鐘が鳴った。着席の時間だ。


「っと、考えといてくれよ! 誘っても誰も来てくれないんだ! 頼むぜ!」


 誰も来てくれないから、嫌われ者に白羽の矢が立った、という話かな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る