第3話 レベルゼロ

 俺の回答は、名も知らぬ女の子を困らせるものだったらしい。


「へ? ど、どういうこと?」


「塾に行くんだ。キミも帰った方がいい、頭を冷やせ」


 素通りする。しようとしたんだが、俺は上級生に呼び止められた。


「カッコいいじゃねえか、澄ました野郎だな。おまえ」


 徒党を組む上級生の中には、俺を勧誘したやつが混じっていた。


 彼が「レベルゼロの雑魚野郎ですよ!」とさけぶと、嘲笑は爆笑に変わった。


 レベルゼロ、0から9まである10段階評価の最下層能力者、それが俺だ。

 

 あってもなくても変わらない程度の魔法しか使えないということだ。


 その通りなので、俺は言い返さずに、校門を通り過ぎようとする。


「無視するんじゃねえよ。ガリ勉野郎」


「っ~、いい加減にしなさいよ、あなたたち! それでも上級生なの!?」


「え~、そういう赤木あかぎココロさんは~、レベルいくつだっけ~?」


 新入生と思われる少女が、上級生に交じり、小馬鹿にして言った。


「レベル7よ、それがどうしたっていうの」


「レベル7! 傑作だ! レベルゼロの彼氏に守ってもらうレベル7の女がいるのか!」


 バカにされた女の子は顔を真っ赤にして、怒った。

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