1224 時雨沢くんは震える 04
「時雨沢さんは雪を降らせるやろ。絹田さんは幻術使えるし、子供だましぐらいなら私だってできる。火を使うなら保村さんや、綾鳥さんに頼めばええし。水なら遊馬さんや。榊山さんと斑尾さんは使いもんにならんなぁ」
三津さんがたそがれ荘の面々の力を並べた。たしかに、パーティーを彩るには十分すぎる。最後はひどい言い様だけど。
「ほら。噂をしたら」
三津さんの声と同時に絹田さんが現れる。三津さんがことの経緯を話すと絹田さんは快く頷いてくれた。
今日はそういう日なのだろうか。呼んでいないはずなのに、どんどん人が集まってくる。
斑尾さんが来て、なぜか睨まれてわざわざ絹田さんとの間に割り込まれた。絹田さんにカビでも生えると思われたのかな。そこまで湿気てないと思うんだけど……。
次に榊山さんが来て、即興でアイディアを出していく。絹田さんと三津さんが頷いている中、斑尾さんが的確な指摘をして話はいい方向に回り始めた。
僕が情けなさに下を向いていると、思いもよらない言葉が飛んでくる。
「落ち込んでいるなら、なぐさめよう」
榊山さんの言葉を理解する前にあたたかいものに包まれる。
やわらかくて、いい匂いがして、さらりとした髪に首をくすぐられる。
え、どういうことだろう。どういう……え? 抱き締められてる? 抱き締められてるな、夢かな、天国かな。いやいやいや、あたたかいぞ?
ふふ、という笑い声に肌をなぜられて、もう限界だ。恥ずかしさで人は震えるのだと初めて知った。
もしかしたら、明日は大雪になるかもしれない。
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