1206 保村くんは考える 02

 榊山さんは霞のような適当なことを言っているようで、鋭い。占い師だから、物事の本質を見ているというか、観察眼がスバ抜けている。本人にそれを指摘すれば、なんとなーく、ね? としたり顔をするのだ。

 心臓に悪いといったら、ありゃしない。


「……いじるの止めてもらえませんか」

「えぇー? クリスマスプレゼントあげるかどうかを聞いただけで、いじることになるのー? キビしくなぁーい?」

「あげると言ったら?」

「ねぇねぇねぇ、何あげるの」

「それをいじると言います」


 返答をはぐらかしていると、ふーん、と含み笑いの榊山さんが顎に手をあて、上機嫌で言葉を並べていく。


「みっちゃん、新しいマフラー買おうかなぁって言ってたよ。くたびれてきたからって」

「わざとらしいですよ、榊山さん」

「マフラーって何本かあってもおしゃれを楽しめるし、気に入らない柄でもショール型なら家用でも使えるもんねぇ」

「さも買えみたいに言わないでくださいよ」


 俺の苦情は聞き入れてもらえない。

 クールビューティーが眩しすぎる笑顔を向けてくる。


「色や柄はホムラーが考えるわけだし、ちゃあんとホムラーが考えた・・・プレゼントだよ。悩んでたんでしょ?」


 榊山さんの言葉に俺は押し黙った。


「みっちゃん、絶対喜ぶよ! 保証する!」


 凄腕占い師の保証にまで後押しされて、俺が抱えていた悩みは相談せずして解決されそうだ。


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