第17話 夢の温泉
(合宿、合宿〜嬉しいな♪ みんなで温泉♡)
イブは対抗戦に向けての事前合宿が行われると聞き飛び上がって喜んだ。綺麗どころと友情を育み、裸の付き合い、余命幾ばくもない老いた心であるからエロい欲望などはもうない。だが、楽しみでならない。
イブは再生魔法の一件から独房から一般の部屋に移された。移されてからは快適な環境、余命も数%伸びた気もする。
「イブ! 支度できた? そろそろ行くわよ」
「はーい、ちょっと待ってー」
合宿……イブにとっては温泉旅行のように感じている。
合宿先はなんと島の外、小さな小島である。普段は教官達がレクリエーションで使っているそうで、結界の中は至って安全。だが、結界の外は強い魔物や魔獣が生息していて危険な場所である。道中、この島で脱走を試みた生徒達の悲惨な末路をマーリ教官が話していた。
「よし、では明日から強化合宿に入る。その前に今夜は戦略ミーティングをするぞ〜そこで今回競われる5つの競技を発表する」
職員用の比較的豪勢な夕食を摂って……ミーティングルームに集合。お風呂タイムは、ミーティングの後に訪れるらしい。
「ではまず、競技の発表をする。 今回は男子校が競技を決めたから……バトル系が大多数だ。まず知力ジャンルは……500問クイズ、大観衆の前でひたすらクイズで戦う そして魔力ジャンルから障害物バトル〜様々な障害物のある場所での戦いだ。あとの3種目は体力ジャンルだ」
「教官、質問です。それ女子校が不利ではないですか? 知力と魔力は勝てるかも知れませんけど……」
「何を言う! 知力ジャンルはここ数年女子校側が勝利したことはない。魔力は互角だが……」
イブは忘れていた。ここの生徒達がお馬鹿な事を。
「では私が確実に知力で勝利もたらしたいです!」
「待て待て、最後まで聞け。あとの3種目は総合格闘、剣技、5種体力競技だ。5種体力競技と総合格闘には男子校にハンデが課される」
「私、どれに出ても勝てる自信あるのですけど……」
「ならイブはバトル系に出てほしい。クイズバトルでは……無知を晒すだけで、肌を晒すことはないからな」
なるほど。バトル系であれば魔法であれ格闘であれ、ラッキースケベを狙ってくる言う訳か……許すまじ! 男子校め!
「1番肌を晒す危険のあるのはどの競技ですか?」
「そうだな。今回なら、剣技だな」
「そらなら私が剣技やりま〜す 剥ぎ取られて悩殺攻撃〜(笑)」
「お前は本当に下品だな……呆れる」
マーリはそう言うと次々各競技の代表を決めていった。剣技はイブ、総合格闘はリッカ、5種競技(陸上)はシルビア。そして障害物バトルはクマコ、クイズはミコトである。これでミコトに護身術の特訓をしなくて済むことになった。
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ミーティング後、シルビアは露天風呂に向かっている。たまたまイブと同じ部屋だったが、一緒に温泉行こうと、しつこく誘われた。イブの言うことは絶対だ。
更衣室に着くとほかのメンバーも勢揃い、昨年も合宿があったが、温泉に全員で入ることなどなかった。シルビアも人に裸体を晒すことなど昨年は出来なかった……服で隠れていた無数の傷跡、イブのお陰で今は消えている。
「ミコト、かわいいお尻してるわねっ!」
「やめてよリッカ。でも去年は人とお風呂なんて入れなかったわよね……本当のこと言うと、私、全身拷問の跡だらけで……ホント、イブのお陰!」
「私も! 組織抜ける時、指を6本詰めたけど、乳首とか切り落とされちゃったし、人に見せられるようなものじゃなかったの」
ミコトもリッカも……シルビアと同じく見せたくない傷があったとは。それは知らなかった。
「呪いが解けた私も結構イケてない! 誤算は……胸が重いこと、肩凝りそう(笑)」
クマコは巨乳美女になっていた。自分の胸と比較するが……パット入れて誤魔化すか……。
「あれ? イブは?」
イブは幸せそうな顔をして私達のやり取りを眺めている。きっと仲間として大切に思ってくれているのだろう。珍しく口数も少ない。
「いたいた、あまり喋らないの、珍しいね」
「イブちゃんもスタイルいいわね! 全体的に小さいけどさ」
「クマコ! 乳が大きいと阿呆に見えるから気をつけろよ(笑) ってかアニメ張りの巨乳だな!」
ワイワイとみんなで温泉に浸かる。イブは恍惚の表情をしている。シルビアはそっとイブの隣に。
「嬉しそうね」
「みんなの笑顔、美しいボディ、眺めているだけで幸せじゃ…………」
「じゃ……って お爺ちゃんみたい(笑)」
「あー、いや 幸せね♡」
イブが挙動不審になっている。温泉で寛いているので気が抜けてしまい、生まれ故郷の方言が出て恥ずかしがっているのであろうか。でも考えてみればいつもイブは普通ではない……気にしないでおこう。
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