第36話

「緒方さんとは別れてるだろ?」


「もちろんだよ!でも、しつこくされて」


「…そういえば、実家の農家の跡継ぎがなんとか言ってたけど…それで焦ってるのか?」


「もう会いたくない」


「たぶん、大丈夫だろ。お前仕事辞めて引っ越して、それに以原グループだろ?さすがにそんなこと言うようなやつが近づいてきたら、捕まるだろ」


「よく、わからないけど…」


「お前知らないの?以原の社長ってすげー感じ悪いやつで、なんか報復されそうじゃね?」


「それは、母のこと?」


柊くんはきょとんとした。全然知らないじゃんか。


「グループトップは私の母です」


「うえ、最悪。お前、どう接するんだよ、その母と」


「会ったけど、結構ムカつく。でも別にそんな関わらないよ」


「…お前すごいな」


感心する柊くん。なにがすごいんだか説明しなさい。


「緒方さんは金がないはず。まりこの美容を真似てるらしい。だから、お前に会うのも一苦労だったろうな。それに、俺が言ってやろう。別れたやつが後からウダウダ言うなってな」


「柊…ありがとう」


「ふん。もっと感謝しろ」


「いや、まだ話してませんよね?今から電話で言います?」


「いや、みどり。そこまでしなくていい。柊、今日はありがとう」


「…足助、お前なに?感謝とか述べたことあったか?」


相変わらずムカつく言い方をされますねぇ?


「柊くん。タクシー呼んで差し上げますから帰って下さい」


「はぁ?せっかちすぎる。おい、足助…まじで以原先生うざいから…」


タクシーにさっと連絡。守は手を繋いだままだ。話すのも怖かったようで。しかし、私の手を握ると安心できるようだ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る