第33話
自分が情けない。変なことにこだわって、自分から抱きついたりとかできなくなってた。
「かわいいねぇ。太郎ちゃんは。よしよし〜」
「ちょっと、太郎独り占めしないでよ」
「じゃあ守、私に抱きついてごらん?」
…う、そんなの…できない。
「太郎ちゃんかわいいねぇ〜?守はなんでこっちに来ないのかな?」
く、くそう!俺だって!
「わぁ。守ちゃんきた〜」
「なにそれ」
「いい子ね?ところで、沖縄に行った時はなんで積極的になれたの?」
「は、はぁ?」
「知りたいな」
みどりから離れ、太郎を呼ぶ。するとやってきた。
「やった。俺のほうがもてる」
「で?」
「ただ、ムラムラしただけ」
「へー?それだといけるのね?なら、お友達にもそういう気分になれば?」
「ねーよ!」
変態め。
「はいはい、太郎ちゃんはもう寝ますよ?守もお風呂入るよ」
「もうちょっと遊ぶ」
「わがままねぇーこの子は」
「うるさい」
翌朝。仕事前に散歩に出る。
すると、犬を連れてるからすぐ声をかけられた。
「もしかして!足助先生ですか?」
「…あ、はいそうですが…」
「や、やっぱり!!私服かっこいいですね!」
…あ、この人は予防接種に来てた人だ。この犬でわかった。
「お久しぶりです」
「先生、研究職になっちゃって…会えなくてうちの子も寂しかったと思います〜。こんなところで会えるなんて!」
「この辺にお住まいですか?」
「えぇ!そうです!もしかして先生は引っ越されたんですか?」
「はい」
「そうなんですね!このわんちゃんは先生の?」
「はい。太郎と言います」
「太郎ちゃんこんにちは〜。うちのは小さいから怖がっちゃってすみませんねー」
ミニチュアダックスであるからね。
「いえ。それでは用事があるので失礼しますね」
「はい!先生また!」
ふ、ふふ!太郎ちゃんだってー!やったやった!全然ダサいとか言われなかったよ?
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